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やってみました 記者たちの職業体験ルポ 介護サービス

2008/08/06

安心できる居場所を

 「人の人生に寄り添う仕事」。介護デイサービス事業などを手掛ける刈谷市のNPO法人「我がまちの縁側」の酒井まゆみ代表から聞かされていた言葉を思い出し、わずか半日だが、介護事業所の中に身を置いてみた。
 中心商店街の一角で同法人が運営するデイサービスセンター「だいふく」の朝は、利用者のお年寄りの出迎えから始まる。酒井代表や職員らとともに、大きなワゴン車に乗り込んだ。

 各家庭を回り、センターに到着するまでの車内は、世間話に花が咲く。大正生まれの男性が記者と同じ誕生日と分かり、話題ができたと喜んだが、それ以外はなかなか話が弾まない。他の職員が笑顔で話しかける様子を見ながら、反省しきり。

 元商店を改装したセンター内は、ソファやテーブル、台所が並ぶ。ごく普通の家庭のようで受け入れ定員は十人と小規模だ。お年寄りたちは思い思いの場所でくつろぎ、入浴やゲームなどを始めた。

 少し落ち着くと、入浴の手伝いをさせてもらうことに。職員からは「手伝いすぎないこと」と注意を受けた。できることは自分でやってもらう方がいいのだという。受け持った男性が自分でゆっくりと服を脱ぐのを待つ。家庭サイズの小型の風呂場に入って背中や足などを洗ったが、どこまで力を入れていいのか戸惑った。

 午後になるとソファのそばに、職員の子どもたちも来てお絵描きなどを始め、入浴を終えたお年寄りがにこにこしながら見守る。三世代が戯れているとしか見えない。「利用者一人一人の個性を尊重し、安心して過ごせる居場所を提供したい」と酒井代表。介護サービスセンターではなく大家族の中に飛び込んだ、そんな錯覚を覚えた半日になった。(吉田幸雄)

    ◇

 介護サービス施設には管理者、生活相談員、機能訓練指導員、介護員などが配置されている。例えば生活相談員になるには社会福祉士や介護福祉士などの資格が必要になる。給与などは事業所の規模によってさまざまという。

3世代で遊んでいるような家庭的な雰囲気を持つ施設内=刈谷市広小路のだいふくで
3世代で遊んでいるような家庭的な雰囲気を持つ施設内=刈谷市広小路のだいふくで