2009/03/18
準備で差が出る授業
最近は体罰禁止で土日は休み。四十年前のわが幼少時代と隔世の感がある小学校だが、今でも熱血教師ドラマがはやるぐらいだから先生たちの心意気は同じだろう-。そんな思いで、小学校教諭に挑戦させてもらった。
児童五百人の新城市新城小学校。五年生三クラス九十人余を前に教壇に立った。授業は社会科の「情報」。担任の一人、川合美香教諭(37)と事前に授業内容を打ち合わせた。
社会科は「農業」なら地域特産の八名丸サトイモの畑に行ったり「工業」ならトヨタの工場に出掛けたりと、テーマごとに校外活動が多い。「情報」では近くにテレビ局はなく、最寄りの中日新聞新城通信局から学ぼうという同校側の希望と、当方からの体験取材依頼が合致した。
授業では、新聞作りの流れを紹介。一日の記者の仕事ぶりなども説明した。熱心に聞いている子もいれば、途中からつまらなそうな子もちらほら。「単調だったか」と後悔しつつ、四十五分の授業時間の後半は質疑応答に充てた。
「質問のある人は手を挙げて」。川合教諭が助け舟を出してくれて何とか乗り切った。「子どもたちには難しいテーマだったので、視覚的なものを用意するなど、分かりやすくする準備が足らなかったかもしれません」とも。
仕事はもちろん授業中心だが、指導方法の研究のほか理科なら実験の用意など、授業前にどれだけ準備したかで差が出るようだ。さらに生活指導や保護者への「通信」作成。夏休みといえど研修や特別授業に水泳指導も。ワックス塗布やペンキ塗りなど、できる範囲内の校内補修にも駆り出される。
教諭に必要な心構えを、三月で定年を迎える原田純一校長(60)は「いい面を伸ばそうという熱意と教養、同僚や地域の人と上手にかかわっていける人間関係能力、向上心があること」と説明してくれた。(阿部雅之)
【メモ】教員免許の取得がまず必要。採用試験は都道府県ごと。昨年4月に採用された県内の小学校教諭は825人。初任給は19万9700円。教頭や校長になるには教務主任などの経験に加え、筆記試験と面接もある。
転職・求人情報検索(名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県)はトップから