2009/03/15
政府、日本経団連、連合の政労使三者が雇用維持のために仕事を分かち合う「ワークシェアリング」の制度化で大筋合意する見通しとなったことが14日分かった。電機、自動車の両産業界を中心に広がりつつある操業時間短縮など雇用維持を目的とする緊急避難措置を包括して「日本版ワークシェアリング」と位置付け、政府は企業が従業員に支払う休業手当を補助する雇用調整助成金の大幅な拡充で支援する。
舛添要一厚労相、御手洗冨士夫日本経団連会長、高木剛連合会長の三者が緊急雇用対策を話し合うため、23日から27日の間で日程調整に入っている。ワークシェアの制度化には「賃下げの定着につながりかねない」との警戒心が労働界で根強く、早期の合意形成は難しいとみられていた。
だが、世界同時不況の影響で大幅な減産を強いられ、今年に入ってから休業日を増やすなどワークシェアを導入する企業が続出。連合も現実を追認する必要に迫られ、軟化に転じた。
操業時間短縮や休業日の増加など旧来の減産対応に加え、一時的にグループ内での配置転換や製造現場から他の販売会社へ出向するなどワークシェアの類型が広がりつつある。そうした現状を踏まえ政府が雇用調整助成金の支給対象や日数、補助率を拡大し、従業員の賃金の目減り分を補てんしやすくすることなどが想定される。
来週にも開かれる政労使の会合では緊急雇用対策が協議の議題。ワークシェアはハローワークの機能拡大や就労支援給付制度などのメニューの陰に隠れがちだったが、失業防止に有効として、三者の合意を機に雇用対策の目玉に浮上しそうだ。
【ワークシェアリング】 従業員1人当たりの労働時間や賃金の水準を抑えることで仕事を分かち合い、従業員全体の雇用を維持すること。ドイツやオランダなど欧州で先行例が多い。日本では2002年、政労使で取り組みの原則に合意。04年度までの時限措置で助成制度ができたが、その後の景気回復で利用企業は数社にとどまった。
(中日新聞)
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