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やってみました 記者たちの職業体験ルポ 眼鏡店店員

2009/03/11

レンズ選び腕の見せ所

 街をゆく若者の目元を飾るおしゃれな眼鏡。このところフレームが太く、自らの存在を“主張”するような眼鏡をかける姿をよく見掛ける。記者自身も軽い近視とやや強い乱視で、運転時は眼鏡が欠かせない。JR安城駅前にあるホソイメガネ本店=安城市御幸本町=で仕事の裏側を探った。
 約千五百本のフレームが並ぶ店で早川義明さん(39)から眼鏡のイロハを学んだ。取りあえず自分の眼鏡を持ち込んで修理に挑戦。折り畳み部分のねじをドライバーで締めるのも、初めは締め付けが甘く、次は締めすぎ。フレームのゆがみは二十種類以上はあるペンチのような「やっとこ」という道具を使って修正。具合を確かめながら、鼻で支える部分も調整した。ずり落ちそうだった眼鏡が驚くほどの掛け心地に。超音波洗浄機に入れると、買い替えたような感覚だ。

 早川さんにお客さん役をお願いして、視力などを測る検眼の一部を体験。客側から見ると海に浮かぶヨットが見えるが、反対に回ると画面に早川さんの目が大写しに。スタートボタンを押すと、機械が自動的に瞳を探し、近視・遠視、乱視の有無と強さなどを計測した。

 本番では、結果を参考に隣の機械で、客にひらがなや特殊な模様を見てもらう。ぴったりのレンズを選ぶ大事な作業で、腕の見せ所だ。早川さんは「見えすぎる眼鏡は疲れの原因になる。見えるけれど疲れにくいのが一番」と話す。検眼は一人三十分以上掛かるという。

 顔の幅と眼鏡の幅を合わせる、眼鏡の高さはまゆからあごの長さの三分の一程度にする-。上手な眼鏡選びの基本という。最近は眼鏡をファッションの一部と考える人も増えてきた。「中高年の方にも眼鏡を楽しんでもらいたい」。眼鏡に懸ける情熱とこだわり、どんな希望にも応えられるという自信が感じられた。(宇佐美尚)

 【メモ】眼鏡専門店での初任給は高卒で17万円前後、大卒・眼鏡専門学校卒で20万円前後。日本眼鏡技術者協会の認定眼鏡士は4年間の専門学校を卒業するとSS級が与えられる。光学的な知識や加工技術の試験に合格すればS級の資格を得られ、講習などでSS級に昇格できる。認定眼鏡士の資格が無くても仕事は可能。

レンズ選びに欠かせない「検眼」をする早川さん=安城市御幸本町で
レンズ選びに欠かせない「検眼」をする早川さん=安城市御幸本町で