2009/03/03
積雪量が減少し、通勤、通学しやすい暖冬となったが、道路の除雪作業を請け負う建設会社にとっては懐の寒い冬に。採算が合わず撤退する会社も現れた。折からの不況の影響もあって、事態は深刻さを増している。
「2月に出動がなかったのは初めて」。大野市で50年以上国道の除雪作業を請け負う建設会社の社長は頭を抱えた。積雪が10センチを超えると除雪車の出動要請がかかるが、ことしの出動日数は例年の半分の6日だけ。会社には除雪専門の社員が待機するが、他の会社の手伝いに回ったり、事務処理をしたりの状態だ。
「除雪以外にも仕事があれば赤字を埋められるんだけど、不況で公共工事は減っているし、ダブルパンチ」
別の建設会社によると、除雪作業に必要な経費は毎冬6000万円。ことしは県から除雪作業の時間に応じた「出来高」など、計4400万円が支払われた。例年は7000万円の売り上げがあり、黒字を維持していたが、ことしは1600万円の赤字転落だ。
専務は「ロータリーを新しくしたばかりだけど、これからますます大雪が減っていくだろうから、売ることも視野に入れている。除雪作業に頼る体制を見直さなければ、生き残っていけない」と厳しい表情だ。
県はこれまで出来高払い方式を採用してきたが、近年暖冬が続き、赤字を計上する建設会社が続出。このため2007年度からは、県が出来高以外に「固定費」として、除雪作業機材維持費の一部を負担することになった。
しかし、県奥越土木事務所によると、除雪に参加する会社数は07年度には22社だったのが、08年度には19社に減少。撤退した3社のうち1社は業務縮小が理由だ。同事務所職員は「倒産による減少はあったが、採算が合わないから撤退したのは初めて。それだけ除雪がもうからなくなっている」と話した。
(西本円)
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