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【社会】名古屋市、生活保護の不正受給4年で倍 07年度1億6千万円

2009/03/03

 名古屋市で2007年度、生活保護費の不正な受給が292件あり、総額が約1億6000万円に上ることが分かった。03年度は7600万円で、4年で倍増したことになる。生活保護受給者の急増に伴い、市は「不正受給も増えている」と懸念している。

 市保護課によると、不正発覚後の回収率は44%にとどまっている。すでに使い込んで返還できない人が多く、「分割返還を求めるが、居どころが不明になったり、追跡しても督促状に応じなかったりして時効(5年)を迎えてしまう」という。累計の未収額は4億1500万円に上る。その多くは不正受給によるものだ。

 1件当たりの不正受給額は平均54万円。6割以上の182件が収入の無申告や過少申告だった。実際は働いているにもかかわらず、毎月提出する申告書に記入しなかったり、実際より低い額を書き込むなどして不正受給していた。市は申告額と税務課の課税資料を突き合わせたり、家庭訪問したりして不正を発見した。

 市内の生活保護世帯は昨秋からの不況の余波で、2万3351世帯(今年1月)。高齢者や母子家庭ではなく、「就労が可能だが、仕事が見つからず無収入」とする人が目立つという。

◆1月の名古屋の申請2・5倍
 全国17の政令指定都市が今年1月に受け付けた生活保護の申請件数は計8590件と、前年同月より約54%増えたことが2日、共同通信社の調査で分かった。

 名古屋市が2・5倍に増えるなど、すべての政令市で増加。名古屋市は、愛知県豊田市に本社があるトヨタ自動車の関連企業などで多くの労働者が仕事を失ったことが響いたとみられる。昨年12月と比べても全体で28%増えた。

 世界不況に伴う雇用情勢の悪化で、失業給付が受けられない失業者や収入が減った労働者らが昨年末以降、窓口に駆け込んだとみられる。生活保護受給者はバブル経済崩壊後の1995年度を底に以降増え続け、昨年11月には160万人に迫った。今後さらに増えることは必至で、国や地方自治体による受給者の自立支援策強化などきめ細かな対応が不可欠だ。

 申請件数が最も多かったのは大阪市で2143件、名古屋市が1074件で続いた。増加率が最も高かったのは名古屋市の152%。次いで浜松市の111%(116件)など。前年12月と比べても、名古屋市の増加率が最も高く66%。浜松市の63%が続く。

    ◇

 1月の有効求人倍率が5年5カ月ぶりに1倍を切った愛知県でも、1月に生活保護適用の決まった世帯数が1474世帯に上り、前年同月比で2・4倍に急増した。2日の県議会2月定例会の一般質問で、県健康福祉部が明らかにした。

 名古屋市を含む県内自治体の適用決定世帯数を県が集計。同世帯数の月平均は2006年度656、07年度655と推移したが、昨年4-12月は773に増加していた。