2009/02/27
金沢の盤水社 まず富山で発行
中高生向けのキャリア(職業)教育誌「さくらノート」を石川県内で発行する盤水社(金沢市)は今月、国内最大級のビジネスプラン・コンテストで賞を獲得したのに続き、経済産業省から社会的課題の解決に取り組む事業にも選ばれた。同社は「地元企業によるキャリア教育支援の必要性は共通の課題」と全国展開を視野に入れ、まずは二〇〇九年度中に富山県での発行を目指す。(村松権主麿)
さくらノートは〇七年四月の創刊以来、隔月で発行。現在、約四万部が石川県内の中学、高校、大学などに無料配布され、今年一月に十号の節目を迎えた。
誌面では、法人会員になった県内企業の社員が「That’s 天職」のコーナーに登場。仕事を選んだ経緯、内容、やりがいなどを子ども時代の経験も交えて語る読み物仕立て。中高生へのメッセージや会社情報も添える。会員約百四十社のリストでは、職場体験の受け入れ状況なども示す。ホームページで読むこともでき、七月には携帯サイトも始める。
中高生らの職業観を育て、地元企業の人材確保にもつながる事業として、盤水社は横浜市で開かれる「横浜ビジネスグランプリ」に応募。三百二十一事業の中から書類選考を経て十五日の最終審査に進み、観客の投票で選ばれる「オーディエンス賞」を受賞した。
十七日には地域活性化など社会的課題を解決する事業として、経産省から「ソーシャルビジネス」五十五選にも選ばれ、三月十日に表彰を受ける。
中山貴之社長は「これまでは試行的だったが、多くの学校で読まれ、授業でも使われている。今回は高い評価をいただき自信になった」と説明。今後の戦略について「提携先を見つけ、横浜など大都市や各都道府県など全国で発行したい。まずは北陸三県だ」と語り、〇九年度中の富山版発行に向けて準備を進めている。
【中山社長に聞く】
早期に職業観育成を
盤水社の中山社長に「さくらノート」発行の経緯や狙いを聞いた。
-なぜ発行したのですか。
大手の就職情報誌で働いていた時、学生たちが卒業間近に探し始め、名の通った企業ばかり目指すイメージ先行の就職活動を見ていて「おかしい。もっと早く職業観をはぐくむべきだ」と思った。
-特に伝えたいことは。
真摯(しんし)に働く、かっこいい大人の姿を見せたい。「これが天職だ」とスイッチが入る瞬間を聞き出すようにしている。読んだ子どもたちが「自分と似ている」と共感体験を持てば、「この仕事が向いているかも」と方向性が見えてくる。
-地域活性化に貢献している点は。
地域の将来は、地域の“宝”である子どもたちにかかっている。進学率が上がり若者の県外流出が増えるなか、地元企業もキャリア教育に参加すれば、地元への定着につながるはずだ。
-今後の展開は。
エンジニアや医療・福祉、農業など人手不足に悩む職種の人材掘り起こしもしたい。景気悪化の影響で、好調だった会員企業の増加にブレーキがかかっているが、少子化もあり、新卒採用についてはこれからがチャンスだと思う。
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