2009/02/25
実傷めず軸から収穫
老若男女を問わず、イチゴが嫌いという人はあまりいないのではないだろうか。個人的には好きな果物ナンバーワン。そんなイチゴの生産現場をのぞかせてもらった。
訪れたのは、蒲郡市五井町の足立幸利さん(44)のハウス。二段の棚に収穫シーズン真っ盛りのイチゴがずらりと並ぶ。高さ一メートル前後の棚に入れた培土でイチゴを育てる「高設栽培」は、かがみっぱなしの姿勢を強いられる従来の「土耕栽培」に比べ、作業効率が高く徐々に普及しているという。
早速、収穫作業を手伝わせてもらう。とはいえ、どこから手を付けていいか迷っていると、足立さんから「赤く色づいていれば収穫OKですよ」と声がかかった。
イチゴのヘタから三センチほどの軸をつまみ、ひねるように引っ張るのがこつ。軸から切るのは、実に触れて傷めるのを避けるため。軸に残った水分が鮮度を保つのにも役立つ。
「後ろ、気を付けてくださいよ」。振り向けば小さな段ボール箱の中に数千匹のミツバチ。花の受粉に欠かせない頼もしい助っ人だ。
刺されることはほとんどないが、葉の裏にいることに気付かず、うっかり手を出しチクリということも。ハウス内の温度はおよそ二五度。うっすらと汗ばんできた。
収穫したイチゴはすぐにパック詰めしてJAの集出荷場に運び込み、その日のうちに名古屋の市場に。翌日には店頭に並ぶ。
気になるのは食べた人の反応。「やっぱり『おいしい』って言ってもらえるとやる気もわいてくる」と足立さん。差し出されたイチゴにかぶりつくと、みずみずしくて甘酸っぱい、大好きなあの味が口の中に広がった。(中山聡幸)
【メモ】JA蒲郡市の苺(いちご)部会は40人。合わせて約1230アールで「章姫(あきひめ)」や「ゆめのか」を栽培している。収穫は10月から翌年5月ごろまで。今季は約600トンを出荷の予定。10アール当たりの収入見込みは約530万円。
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