2008/08/13
電線3000本正確に接続
特徴的な流線形の顔で日本の大動脈を快走する新型新幹線「N700系」。その多くが豊川市穂ノ原の日本車両製造豊川製作所で造られている。世界に誇る最新技術を集めた車両が、どのように造られているのか。製作所を訪ねてみた。
車両は車体を組み立て、塗装、配線、内装をし、別の工程で組み立てた台車を合わせて完成させる。同じ製品が少ないため、製造はほとんどが手作業だ。中でも、走行制御やドアの開閉、照明、空調などの電気配線は、いわば新幹線の神経や血管。塗装されたばかりのN700系に乗り込み、製造第二課の電装工場の元工長西村幸男さん(60)の指導で配線取り付け工事の一部を体験した。
電線の先をデッキ部分の器具につなぐ作業に挑戦したが、意外に力がいる。でも、休んでいては仕事にならない。限られた時間で次の工程へ進む手早さが必要。付近には似たような電線が何百本と並び、どれをつなげばいいのか分からない。設計図を見て正確に選び、美しく仕上げるのも大切。西村さんは「目に付きにくい個所だが、失敗がある日突然、致命傷になる」。
床下部分へ案内され、のぞいてみた。電線は何百本も重なっていた。電線の数は運転席のある先頭車両で約三千本、中間車でも約二千本にも上る。電線の被膜むきや部品の取り付け、線の結束など、一つ一つの作業自体は昔とあまり変わりない。ただ、車両が進化するほど線の数が増え、その分、作業の効率化が求められる。
西村さんはこの道四十五年。東京五輪の年にデビューした0系からすべての新幹線の製造に携わってきた。「何年経験を積んでも向上心こそが、いい仕事につながる」。電線の被膜をむく練習をする記者に訴える顔が誇らしかった。(村瀬力)
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豊川製作所では年間平均で新幹線の車両を含め350両を製造。資格は特に問わないが、採用は高卒の技能職と高専卒以上の総合職に分かれている。午前8時10分から午後4時50分までの勤務で、高卒初任給は基本給で15万9200円。
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