2025/12/12
原資確保に苦慮 低調
愛知県の中小企業でつくる愛知中小企業家同友会は、冬季賞与のアンケート結果を公表した。全体の平均支給額は35万2422円で前年を7690円下回った。最低賃金の上昇など賃上げムードが強まる中、従業員の意欲に応えたい一方で原資の確保に悩む中小企業の現状が浮き彫りとなった。(真子弘之助)
アンケートは11月17~26日に実施し、会員(4446社)の約3割に当たる1288社が回答した。業種別では、流通・商業が前年を上回ったものの、建設業、製造業、サービス業で前年を下回った。
厳しい経営状況を反映してか、冬季賞与を支給する(支給した)企業の割合は全体の72・1%で、前年から11・2ポイント減少した。記述回答では、支給しない理由を「原資がない」「利益が出ていない」とする声が目立った。
支給する企業にも苦悩がある。ベビー服製造卸の林商店(愛知県犬山市)は、記念日向けの服などの売り上げが好調なこともあり、例年と同額の賞与を支給することを決めた。ただ、少子化に加え、利上げによる消費の冷え込みも予想され、厳しい市場環境が続く。林康雄代表は「最低賃金も上がり苦しいが、物価高を踏まえると下げるわけにはいかない。企業として社会的責任も感じている」と語る。
賞与は支給せず、給与に振り向ける企業もある。愛知県内の金属加工会社は、一定の資格を取得した従業員に「資格手当」として給与に上乗せして支給している。ただ、値上げしても金属原料の高騰に転嫁が追いつかない状況が続いている。男性経営者(50)は「年収ベースでは一定の水準の給与を支払っていると考えているが、賃上げをしたくても原資がないというのが正直なところ」と打ち明ける。
愛知同友会が実施したアンケートの記述回答では、「職員の意欲を低下させないよう内部留保から補う」(サービス業)など、人材の流出を懸念して苦しい経営環境の中でも賞与を支給する実態が浮かび上がった。同友会の担当者は「資材も高騰する中、原資の確保は厳しくなっている。給与に振り向けて採用活動の強化を図る動きが結果に反映されているのではないか」と分析した。

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