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【愛知】カスハラから労働者守る 県が事業者向けマニュアル

2025/10/01

防止条例きょう施行

 客が従業員らに理不尽な要求や暴言をする「カスタマーハラスメント(カスハラ)」を防ぐための県条例が10月1日に施行される。これに合わせ、県は30日、カスハラの行為例や対応策をまとめた事業者向けのマニュアルを公表。担当者は「カスハラから労働者をどう守るか。企業や団体は適切に対処してほしい」と呼びかけた。

 ◇ ◇ ◇

 条例は、カスハラを「顧客からの悪質な苦情」「不当な要求といった迷惑行為」と定義。客に対しては社会通念上、許されない言動をしないように求め、事業者には客のカスハラを止める対応をとることを責務とした。

 県によると、既にカスハラ防止条例を施行した都道府県は東京都、北海道、群馬県で、愛知県は4例目。市町村では三重県桑名市が悪質なカスハラを繰り返す人の氏名を公表できる条例を施行したが、愛知県は「正当な要望をする客が萎縮する恐れがある」(県労働福祉課)などの理由で罰則規定を設けなかった。

 マニュアルは、小売店などでの場面を挙げながら、カスハラに当たる行為例を紹介。「一方的に無料配送を要求する」「料理の作り直しを要求する」などと例示した。店の対応策も「職場の上司や同僚など複数人で対応する」「録音録画を活用する」とまとめた。

 県が9月に設置した電話やオンラインの相談窓口には、事業者から「カスハラの加害者にサービスの提供を停止してよいか」などの声が寄せられている。マニュアルは今後、相談事例も参考に改訂していく予定。相談は電052(990)6287、または専用フォームへ。

◆働く人と顧客 対等な立場で
◆県が啓発ロゴ作成

 カスハラ防止条例の周知、啓発を図ろうと、県はロゴマークも作った。ロゴを印字したポスターやチラシなどの啓発グッズを使って事業者にPRしてもらう。

 ロゴは「AICHI NOカスハラ」のキャッチコピーを赤、白で描いた。中心部の「N」を顧客と就業者のキャラクターで表し、両者が協力して対等な立場でカスハラ防止に取り組む姿をデザインした。ハート形の「O」には優しさや気遣いの意味を込めた。

 ポスターには大声・暴言、執拗(しつよう)なクレーム、不当な要求など迷惑行為を例示し「カスタマーハラスメントの無い 安心して生き生きと働ける愛知県に」のスローガンを載せた。ポスターやステッカーなどは、市町村などを通じて事業者に配布している。

 専用ウェブサイト「あいちカスハラ防止対策ナビ」もあり、ロゴやポスターのデータを無償で提供するほか、カスハラの基礎知識や県の取り組みなども紹介している。

カスハラ防止対策ロゴマークを活用して作ったポスター=県庁で
カスハラ防止対策ロゴマークを活用して作ったポスター=県庁で