2025/05/22
体調の把握など規定 来月から対策義務化
暑い環境で働く人への熱中症対策が6月から事業者に義務化される。熱中症による職場の死傷者は2024年に、過去10年間で最も多い1195人に達し、このうち死亡者は30人に上った。対策として、熱中症の恐れがある人を早く見つけて適切に対応することが求められており、現場への周知が課題になる。 (河野賢治)
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厚生労働省によると、職場の対応が義務化されるのは、気温や湿度、日射などから算出する「暑さ指数」が「28」以上か気温31度以上の環境で、連続1時間以上、または1日4時間を超えることが見込まれる作業。労働安全衛生規則を改正し、事業者が対策を怠った場合、6月以下の拘禁刑か50万円以下の罰金が科される可能性がある。
具体的な対応として、熱中症の自覚症状がある人や、その恐れがある人を迅速に把握することをまず求める。厚労省は職場の巡視をはじめ、作業者を2人一組にする「バディ制」、手首や腕など体に装着する「ウエアラブルデバイス」で体調を把握することなどを例示している。
また、熱中症の恐れがある人が見つかった時に備え職場内の連絡先や担当者をあらかじめ決め、緊急搬送先の連絡先と所在地を確認しておくことを挙げた。作業を中断し、体を冷やして医療機関に搬送する手順を作成するほか、働く人に周知することも求めている。
厚労省のまとめでは、熱中症による職場の死傷者は18年に1178人を記録した後は減っていたが、22年から再び増加に転じている。死亡者は22~24年、年間30人台に上っている。
死傷者を業種別に見ると、24年は製造業227人(死亡者6人)、建設業216人(同8人)、運送業186人(同6人)。死亡者は例年、建設業が最も多くなっている。
厚労省によると、死亡の主な原因は、体温の上昇や意識が薄れるといった初期症状の放置のほか、医療機関に搬送しないなど対応の遅れが大半を占めているという。同省は5~9月に「クールワークキャンペーン」を実施し、熱中症の予防や対策を徹底するよう事業者に呼びかける。
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