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【社会】働く75歳以上 10年で倍増

2025/02/21

団塊世代 全員後期高齢者に

 高齢化が進む中、75歳以上になっても働く人が増え続けている。総務省によると、2024年の75歳以上の就業者数は248万人で、10年前と比べてほぼ倍増した。第1次ベビーブーム(1947~49年)生まれの「団塊の世代」は昨年、全員が75歳以上になった。25年度以降、医療や介護といった社会保障費が急増するなど「2025年問題」が指摘される一方、人手不足の労働市場で後期高齢者の役割が大きくなることが見込まれる。=連載「誰そ彼のとき」<29>面

 総務省の労働力調査によると、75歳以上の就業者は2014年の129万人から年々増加し、22年に200万人を突破。24年は14年の1・9倍となり、全就業者の3・7%を占める。75歳以上の人口のうち就業している人の割合(就業率)も増え続け、14年の8・1%から24年は12%となった。

 労働意欲も高く、全国の60歳以上の男女を対象とした内閣府の調査(19年度)では、現在収入のある仕事をしている人のうち4割が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答。「70歳くらいまでまたはそれ以上」と回答した人を合わせると約9割に上る。

 労働力人口の減少で企業が人手不足に悩む中、政府は高齢者の就業を一層促進する方針を示す。昨年9月に閣議決定した高齢社会対策大綱に「65歳以上の就業者等は増加し続けており、その意欲も高い状況にある」と明記。内閣府の担当者は「年齢に関わりなく、意欲に応じて働けるような環境を整えることが社会を維持することにもつながる」と説明する。

 一方、高齢者の労働災害も増加傾向になっている。厚生労働省によると、休業4日以上の労災に遭った労働者は23年、60歳以上が全体の29・3%に上った。

 同省は20年、企業向けの指針「エイジフレンドリーガイドライン」を公表。企業に高齢労働者の体力・健康状態の把握、勤務形態の工夫などを求めている。

 日本の75歳以上人口は23年に初めて2千万人を超えた。総務省の人口推計では25年1月1日現在(概算値)で、総人口の16・9%に当たる2092万人となった。

【2025年問題】
「団塊の世代」が全員75歳以上の後期高齢者となり、25年度以降に医療や介護現場などでの人材不足や社会保障費の急増が深刻化する問題。少子高齢化の進行で労働力人口が減少し、福祉サービスの体制維持が困難になる。社会保障費が膨らむことで、現役世代の負担増加も指摘される。