2024/11/07
段差■警報音の音域■作業スピード
働く高齢者の増加に伴い、労働災害も増えているとして、厚生労働省が企業に対し、労災防止対策を努力義務として課す方向で検討していることが分かった。労働安全衛生法の改正を念頭に、職場環境の改善や作業内容の見直しなどを企業に促す。
6日開かれた同省の労働政策審議会安全衛生分科会で議論され、方針がおおむね了承された。今後、議論を基に報告書案をまとめ、さらに議論を進める見通し。同省によると、雇用者全体に占める60歳以上の労働者の割合は2023年で18・7%だった一方、休業4日以上の労災に遭った労働者に占める割合は29・3%と高かった。労災の発生率が30代と比べて2倍近いというデータもある。
同省は20年に高齢者の労災防止に関するガイドラインを作成。手すりの設置や段差の解消、警報音を聞き取りやすい音域にするといった職場環境の改善とともに、勤務時間の工夫やゆとりのある作業スピードに見直すことなどを進めるよう企業に求めている。
しかし、同省の調査では、高齢者の労災防止対策に取り組んでいるとした企業は少なかった。取り組まない理由としては「自社の60歳以上の労働者は健康だから」との回答が多く、身体機能の低下による労災のリスクについての理解が進んでいない現状があるという。
分科会では、使用者側の委員が、企業に努力義務を課した場合に中小企業の負担が重くなる懸念があると指摘。労働者側委員からは、より有効な対応となるように進めてほしいとの要望があった。また、委員の中からは「経営者の意識改革が重要だ」との意見も出された。企業に努力義務を課す方針自体には労使双方から大きな異論は出なかった。
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