2024/08/09
個室の仮眠室、シャワー 出張所に順次整備
消防現場で女性の活躍拡大が求められていることを受け、市消防局は女性が働きやすい環境整備や人材確保を進めている。現在、市内の消防出張所のうち女性が宿直勤務可能なのは2割程度にとどまるが、男女別トイレや個室の宿直室、シャワー室を整備する改築工事などを展開。女性消防隊員の採用にも力を入れる。(井口愛梨)
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7月下旬、改築工事を終えた昭和消防署白金出張所(昭和区福江)の内覧会が開かれた。地上2階建て、延べ床面積約230平方メートルの建物を地域住民らが見て回った。築55年の同出張所は約1億1700万円をかけて一新。2階の仮眠室は大部屋から7つの鍵付きの個室に。女性専用のトイレに個別のシャワーも設置し、女性が働きやすくした。
同消防署総務課課長補佐の武井美奈子さん(43)は「女性が泊まり勤務できない出張所もある。女性が活躍できるよう改築が進んでほしい」と語る。
市内では2011年に緑消防署徳重出張所(緑区熊の前)が新築され、女性が宿直勤務可能な初の出張所となった。その後、17年に天白消防署島田出張所(天白区島田)が改築されて以降、築40年以上の出張所を対象に順次改築工事などを進め、女性が宿直勤務できる設備を整備している。それでも現在市内の出張所44カ所のうち、女性が宿直できるのは10カ所にとどまる。
もともと消防現場は男性だけの職場だったが、国は女性の比率を26年に5%に引き上げることを目標に掲げている。市は1998年から女性隊員の募集を始めたものの、今年4月1日時点で全消防隊員2423人のうち81人(3・3%)と全国平均(3・5%)を下回る。
市は女性消防隊員を増やすために、高校生以上を対象に就職セミナーを開き、訓練の様子や消防署を公開、現役隊員との懇談会を設けている。交流サイト(SNS)では女性隊員の紹介動画や関連イベント情報を投稿している。
「救急現場に行くと女性の傷病者から『女性がいてくれてよかった』と安心してもらえる機会が多かった」と振り返る武井さん。消防現場での女性の必要性を訴えている。
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