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【地域経済】池戸製作所 多様な人材 活躍の場を

2024/07/23

障害者採用推進 外国人も多数

 自動車内装部品を手がける池戸製作所(愛知県稲沢市)が障害者の採用を推進している。中小企業の人手不足が深刻化するなか、外国人を含む多様な人材が活躍できる土壌づくりに努め、成果を上げている。(武藤周吉)

 ◇ ◇ ◇

 「ものづくりが好きで製造業を希望した。車いすで働ける環境が整っていて決め手になった」。下半身不随の重度障害がある入社7年目の荒井さん(29)は内装部品の組み付けを手際よくこなす。

 作業台は車いす利用者にも配慮して、高さが調整できるようになっている。座った状態で力を入れづらい作業の場合は、また別の専用器具を会社が用意してくれるという。

 同社は1969年創業。トヨタ自動車向けの内装部品を主力とする、従業員約180人の中小企業だ。人手不足が深刻化する中、近年は求人を出しても思うように応募者が集まらず、頭を悩ませてきた。

 障害者採用を積極的に始めたのは2017年。新工場の建設を機にバリアフリー化に踏み切り、スロープで段差を極力なくしたり、多目的トイレを設置したりした。

 現在は身体障害者、知的障害者の計10人が組み付けや縫製、検査工程などに携わる。毎年のように採用を続けており、障害者雇用率は7・4%と、法定雇用率(2・5%)を大幅に上回っている。

 従業員には外国人も多い。全体の半数近くに上り、国籍はベトナム、フィリピン、ブラジルなど7カ国。言語や文化的な背景はそれぞれ異なるものの、コミュニケーションの課題に柔軟に対応している。

 池戸賢治社長は「生産現場のリーダーたちが、1人ずつに向き合って指導することで、誰もが丁寧で効率的に仕事ができるようになっている。多様な人材が活躍できる環境が企業文化として定着している」と胸を張る。

(メモ)
 障害者雇用率 常用雇用労働者に対する障害者の割合で、障害の程度や種類、労働形態によって2~0.5人に換算されることがある。一定規模以上の企業に義務付けられている「法定雇用率」は今年4月に2.3%から2.5%となり、2026年7月には2.7%へと段階的に引き上げられる。厚生労働省の調査では、法定雇用率を達成している企業は約半数にとどまっている。

高さが調節できる作業台で内装部品の組み付け作業をする荒井さん=愛知県稲沢市の池戸製作所で
高さが調節できる作業台で内装部品の組み付け作業をする荒井さん=愛知県稲沢市の池戸製作所で