2024/07/23
障害者採用推進 外国人も多数
自動車内装部品を手がける池戸製作所(愛知県稲沢市)が障害者の採用を推進している。中小企業の人手不足が深刻化するなか、外国人を含む多様な人材が活躍できる土壌づくりに努め、成果を上げている。(武藤周吉)
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「ものづくりが好きで製造業を希望した。車いすで働ける環境が整っていて決め手になった」。下半身不随の重度障害がある入社7年目の荒井さん(29)は内装部品の組み付けを手際よくこなす。
作業台は車いす利用者にも配慮して、高さが調整できるようになっている。座った状態で力を入れづらい作業の場合は、また別の専用器具を会社が用意してくれるという。
同社は1969年創業。トヨタ自動車向けの内装部品を主力とする、従業員約180人の中小企業だ。人手不足が深刻化する中、近年は求人を出しても思うように応募者が集まらず、頭を悩ませてきた。
障害者採用を積極的に始めたのは2017年。新工場の建設を機にバリアフリー化に踏み切り、スロープで段差を極力なくしたり、多目的トイレを設置したりした。
現在は身体障害者、知的障害者の計10人が組み付けや縫製、検査工程などに携わる。毎年のように採用を続けており、障害者雇用率は7・4%と、法定雇用率(2・5%)を大幅に上回っている。
従業員には外国人も多い。全体の半数近くに上り、国籍はベトナム、フィリピン、ブラジルなど7カ国。言語や文化的な背景はそれぞれ異なるものの、コミュニケーションの課題に柔軟に対応している。
池戸賢治社長は「生産現場のリーダーたちが、1人ずつに向き合って指導することで、誰もが丁寧で効率的に仕事ができるようになっている。多様な人材が活躍できる環境が企業文化として定着している」と胸を張る。
(メモ)
障害者雇用率 常用雇用労働者に対する障害者の割合で、障害の程度や種類、労働形態によって2~0.5人に換算されることがある。一定規模以上の企業に義務付けられている「法定雇用率」は今年4月に2.3%から2.5%となり、2026年7月には2.7%へと段階的に引き上げられる。厚生労働省の調査では、法定雇用率を達成している企業は約半数にとどまっている。
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