2024/06/09
業務効率化で残業減、 全国でリモートワーク
県内企業の女性管理職の割合が低迷する中、比率が4割を超える会社がある。創業61年の眼鏡卸売りの「名古屋眼鏡」(名古屋市中区)は仕事の効率化を追求した結果、全社的に残業が減り、子育て中や介護中でも働きやすい社風を実現。結婚、出産の後も働き続ける女性社員が増え、管理職登用率の高さにつなげた。 (山野舞子)
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2023年の帝国データバンクの調査によると、県内企業の管理職(課長職相当以上)に占める女性の割合は平均8・5%。東京都の10・7%、大阪府の9・8%と比べて低く、47都道府県(平均9・8%)でも35位だった。
名古屋眼鏡は社員116人中女性が76人。管理職は23人中10人が女性で43%を占める。4歳の子を持つ小木曽恵さん(41)は時短勤務をしながら、部長級のイノベーション室長として社内のシステム改善や業務の効率化などを提案する。「仕事で男女の差を感じたことはない。経験を生かせる仕事で役割を与えてもらいありがたい」と話す。
同社は00年ごろまでは、結婚と同時に辞める女性社員が多く、出産後に働く人はほとんどいなかった。00年の社員は39人で、うち女性は15人と4割ほど。管理職でみれば、02年の時点で12人中、女性は1人のみだった。
転機は06年、初めて育休希望者が出たことだ。育休制度の整備にとどまらず、全社的に働き方を見直す機運が高まった。
眼鏡関係の雑貨などを扱う卸売りの仕事に、女性の視点は欠かせない。「退職は会社にとって大きな損失になる」と総務システム室の竹内茜さん(39)は説明する。
まずは残業を減らそうと、週1回「早帰りデー」を設けた。業務の効率化案を考えてそれぞれが記入する「改善シート」を導入し、社員自らが働き方を見直す意識付けをした。短時間で集中して働くことが求められ、無駄な残業が減った。
配偶者の転勤で仕事を続けられない社員が出た際にはリモートワークを導入。今は介護や育児での利用も可能で、富山県や大分県など全国で8人が利用する。毎日オンラインで朝礼や夕礼を実施するため、コミュニケーションにも不都合はないという。懇親会を昼に開いたり、夜の勉強会は後で動画で見られるようにしたりと、時短勤務の社員にも配慮している。
こうした取り組みが定着したことにより、子育てや介護などをしながら長く働く女性社員が増えていき、女性管理職の割合も高まっていった。
小林成年(なりとし)社長(59)は「会社経営において繊細で緻密、着実な女性の力はなくてはならない。貴重な人材を失わず活躍してもらうために、必要に応じて制度をつくっていけばよい」と話している。
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