2024/05/25
人材確保や効率化 相談気軽に
中小企業の「働き方改革」を後押しする愛知働き方改革推進支援センター(名古屋市千種区)が開設から7年目を迎えた。
運送業などの「2024年問題」をはじめ、経営上の新たな難題に直面する雇用主は少なくなく、同センターは「気軽に相談してほしい」と呼びかける。
人手が潤沢でなく、働き方改革が進みにくいとされる中小企業や個人事業主を支援しようと、愛知労働局が18年に開設。社会保険労務士、中小企業診断士ら専門家64人が交代でセンターに詰め、経営者らの悩みに無料で応じる。
同センターによると、賃上げや助成金の活用、業務効率化など相談内容は幅広い。最近では運転手や建設作業員、医師に時間外労働の上限規制が適用される2024年問題や、ハラスメントを防ぐための仕組みづくりの相談も少なくない。
地下鉄桜通線の吹上駅すぐ。開所時間は平日の午前9時~午後5時。相談は電話とメールのほか、LINE(ライン)でも可能。(問)同センター=フリーダイヤル(0120)006802
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創業130年超 名古屋のナルセ金属
若手入社、残業減… 「いろいろプラスに」
創業130年超。顧客の要望に応え、オーダーメードでさまざまな金属製品を加工するナルセ金属(名古屋市中区)も、同センターに助けられた会社の一つ。
成瀬守男社長(60)によると、2019年ごろ、求人を出しても望む人材が集まらないのが大きな悩みの種だった。妻の容子さん(61)がチラシで同センターの存在を知り、訪ねると経験豊富な社会保険労務士が応対してくれた。
ハローワークに求人を出すより、金属加工に特化した人材がいる高等技術専門校に募集をかけたらどうかと助言された。試しにやってみて、成瀬社長は驚いた。「若くてやる気のある人材がすいすい入ってきた」
コロナ禍前、全従業員7人の平均年齢は60歳ほどだった。定年に合わせて次々と若い人材に入れ替わり、現在は平均30代半ばに。「うまいこと若返ったな、どうやって集めたのってうらやましがられる」と苦笑する。
人手は足りた。次は、いかに職場の定着率を上げるか。社労士と交流する中で、国の助成金の申請についてアドバイスをもらい、最新の溶接機器を導入。作業効率が上がり、社員の残業時間が減った。以前は当たり前だった土曜日出勤も徐々に減ってきた。昨年、社内で初めて男性社員が育休を取得した。
成瀬社長は工場内で真剣な表情で溶接作業に取り組む社員を見つめながら口を開く。「求人とか助成金だけじゃなく、専門家との付き合いを通して、いつの間にか従業員の働き方にも目が向くようになった。ほんと、いろいろプラスになった」と目を細めた。(多園尚樹)
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