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【地域経済】即戦力、多様な人材採用へ「カムバック」導入6割超

2024/05/03

中部企業アンケート

 中部9県の主要157社が回答した本紙の採用アンケートで、一度退職した社員を再び雇う「カムバック採用」を導入している企業が6割を超えた。人手不足の中、企業は社内をよく知る人材を即戦力として期待。新卒採用の競争激化もあり、中途採用を拡大する動きが広がっている。(市川泰之)

 ◇ ◇ ◇

◆「中途増やす」2割超

 カムバック採用を「導入済み」と答えた企業は63・7%、「導入を検討中」は12・7%だった。狙いや効果を尋ねたところ、即戦力としての活躍や人材の多様化への期待が多かった。

 中古品買い取り・販売のゲオホールディングス(名古屋市)は、育児や介護、配偶者の転勤などやむを得ない事情で退職した社員を対象に、2024年1月に制度化した。担当者は「一度会社を離れたことで得られた貴重な経験やスキルを生かしてほしい」と話す。

 ヤマハ(浜松市)は「人物が分かっていること。再志望の場合、入社意欲がより高いと想定されること」を導入の理由に挙げた。自己都合での退職者に「復職できる安心感を提供する」(東海の機械メーカー)という目的の企業もあった。

 社員に採用候補者を紹介してもらう「リファラル採用」についても、「導入済み」が49・0%と半数近くを占め、「導入を検討中」が19・1%に上った。

 カムバック採用と合わせて導入済みの福井銀行(福井市)は「入社後のミスマッチが少なく、採用経費の抑制につながる」と効果を指摘。このほか「通常の採用活動では接点がない人材にアプローチできる」(精密機器メーカー)という利点や、紹介手数料の安さも導入の狙いに挙がった。

 新卒採用を巡る環境が厳しさを増していることを受け、中途採用を拡大する動きも活発化している。

 25年度の採用計画で、前年度より「中途採用の割合を増やす」と答えた企業は21・0%で、「新卒採用の割合を増やす」の9・6%を上回った。「同程度」とした企業は45・9%、「未定」が19・1%だった。

 中途採用を増やす理由では、即戦力や専門人材の確保に交じって「新卒が獲得できない」「新卒採用のみでは不足する」(いずれも東海の製造企業)という声が目立った。「若年者の転職活動が活性化しているため」(東海の小売企業)など、転職者の増加を受けて取り組んでいる企業も見られた。