2024/03/19
名古屋商工会議所が18日発表した会員企業の1~3月期の景況調査によると、賃上げの原資となる「価格転嫁」について、転嫁したと回答した企業の割合が2023年10~12月期と比べて3・4%減の59・5ポイントだった。費用別では、労務費の転嫁が難しいと答える企業の割合が最多となり、賃上げに向けた循環がおぼつかない現状が浮き彫りになった。
価格転嫁の状況を業種別でみると、建設業は67%で、前期と比べて14ポイントの大幅ダウンとなった。製造業は84%、卸売業が88%と高水準。これに対して、小売業は67%、サービス業は43%と低調だった。また、企業規模が小さくなるほど、価格転嫁が実現しにくい状況も明らかになった。
複数回答で価格転嫁が難しい分野を聞いたところ、労務費は63・7%、エネルギー価格が43・2%、物流費が37・8%、原材料価格が37・7%の順で高かった。
会員企業からは「労務費転嫁について、東京の顧客からは理解が得られやすいが、中京圏は得られづらい」(大手・情報通信業)との声も挙がった。名商企画部の久野幹太次長は「ものづくり中心の地域で、コスト削減が重視される文化性がある。名古屋での交渉の難しさが出ている」と分析した。
24年度の賃上げを実施すると回答した企業の割合は小規模企業が43%、中小企業が91%、大企業は88%。「雇用維持のため、やむを得ず大幅な昇給を行う」(中小・建設業)などの声が挙がり、「防衛的な賃上げ」が垣間見える。
同時に調査した1~3月期の業況DI(全産業)はマイナス0・1で、10~12月期比4・1ポイント減だった。2月13日~3月1日にかけて、ウェブ調査を実施し、854社から回答が得られた。(小野谷公宏)
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