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【地域経済】労組ツナグ 組織も人も

2023/01/23

◆名古屋のIT企業 アプリ開発
◆東邦ガスや豊田合成導入

 IT企業のスタメン(名古屋市)が開発した労働組合向けアプリ「TUNAG for UNION(ツナグ・フォー・ユニオン)」が好調だ。執行部と組合員のコミュニケーションを促す仕組みで、東海地方では東邦ガスや豊田合成などの労組が導入した。2024年春闘の本格化を前に、業種を超えた組合間の交流サイトも設け、組合活動の活性化を後押ししている。(小野谷公宏)

 ◇ ◇ ◇

 労組は長らく組織率の低下に悩み、近年はデジタル化の遅れも共通の課題となっている。従来の紙やファクスに代わり、ウェブサイトやメールで活動情報を発信する労組もあるが、社用のパソコンやメールアドレスを持たない現業部門などの組合員には行き渡りにくい状況があるという。

 スタメンは、企業内コミュニケーションを活性化する「TUNAG」の機能を生かし、22年に労組向けアプリのサービスを開始。社用のメールアドレスやパソコンがなくても、専用IDでスマートフォンなどから利用できるようにした。アプリでは全ての組合員に連絡事項を即時に伝達できるほか、アンケートの実施・集計、福利厚生などの事務手続きも可能だ。

 これまでの導入団体は、大手企業の労組を中心に全国で125に上る。労組からは「ホームページと比べ閲覧者数が5倍に増えた」(流通系金融)、「アンケートの回答率が大幅に増加した」(商社)などの声が寄せられている。

 23年12月には、アプリを利用する労組の担当者専用サイト「UNIONS’(ユニオンズ)」を開設。多くの労組が従来、上部団体の産業別労働組合(産別)と情報交換する一方、他業種の組合との交流は乏しいことに着目した。効率的な組織運営や活性化策で各労組は同じ悩みを抱えており、横のつながりを提供することでノウハウの共有を促している。

 今春闘では、歴史的なインフレを背景に賃上げの水準が焦点となる。スタメンの担当者は「組織が一体感を持って活動し、労働環境の改善につながるよう支援したい」と話す。

スタメンが開発した労働組合向けアプリ「TUNAG for UNION」の説明画面=名古屋市内で
スタメンが開発した労働組合向けアプリ「TUNAG for UNION」の説明画面=名古屋市内で