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【経済】賃上げ4%超視野 経団連が交渉指針 「中小への波及不可欠」

2024/01/17

 経団連は16日、2024年春闘の経営側の指針となる「経営労働政策特別委員会(経労委)報告」を発表した。物価高で実質賃金がマイナスで推移する中、昨年を上回る賃上げ率4%以上の実現へ「23年以上の意気込みと決意をもって、賃金引き上げの積極的な検討と実施」を求めた。国内の労働者の7割近くが勤務する中小企業に賃上げの勢いを波及させることが「国全体で持続的な賃上げを実現させるために不可欠だ」と訴えた。今春闘は24日に開催される「労使フォーラム」で事実上スタートする。

 23年春闘では経団連の最終集計で会員の大手企業の平均賃上げ率が3・99%と31年ぶりの高水準となった。十倉雅和会長は経労委報告の序文で「昨年以上の賃金引き上げに果敢に取り組んでいきたい」と強調。一方で、急激な物価上昇に対応した賃上げをこの先も続けることは体力のある大手企業といえども苦しくなるため、政府・日銀に対し、2%程度の適度な物価上昇が実現するための政策を求めた。

 経労委の大橋徹二委員長(コマツ会長)は東京都内で記者会見し「一過性の賃上げでは日本経済は成長しない。継続的に賃上げするために生産性の改善が大事だ」と述べた。

 経労委報告は連合が闘争方針で示した「5%以上」の賃上げ目標に理解を示した。昨年は連合が「5%程度」を求めたことに「実態から大きく乖離(かいり)している」とけん制したが、今年は労使が同じ方向を向いた。