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【社会】育児中 複数の働き方選択 介護離職防止へ制度周知

2023/12/05

厚労省見直し案

 厚生労働省は4日、育児や介護をしながら働く人の支援強化に向けた制度見直し案を公表した。3歳から小学校入学前の子どもを育てる従業員が、在宅でのテレワークや時差出勤など、複数の選択肢から働き方を選べる仕組みの導入を全ての企業に義務付ける。家族らの介護があっても仕事を続けられるように、介護休業などの支援制度の周知も義務とする。

 労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会に提示した。来年の通常国会に育児・介護休業法の改正案提出を目指す。

 育児との両立では、勤務日の半数以上のテレワーク、時差出勤、新たな休暇の付与といった選択肢を二つ以上設ける。育児中でもフルタイムで働ける環境を整える。従来の制度は、0~2歳と比べ、3歳から小学校入学前の子どもを育てる人への支援策が手薄だったことが背景にある。

 残業免除を申請できる期間について、現行の「3歳になるまで」から「小学校入学前まで」に延長する。子どもが病気になった場合に年5日まで取れる看護休暇の取得期間は「小学校入学前まで」から「小学校3年生まで」に延ばす。

 介護離職の防止に向け、従業員が40歳になって介護保険に加入する際に、公的な支援制度を必ず書面などで周知するよう企業に求める。介護が必要な家族1人につき計93日取得できる介護休業や、年5日使える介護休暇などの制度を知らないまま離職する人がいるためだ。従業員から家族の介護が必要と申し出があった場合は、個別に制度利用の意向を確認する。

 男性の育児休業取得率の公表を義務付ける企業に関し、従業員「千人超」から「300人超」に対象を拡大することも示した。

(メモ)
 育児・介護の両立支援策 働く人が子どもの養育のために仕事を休む場合、子どもが原則1歳になるまで育児休業を取得できる。保育所が見つからないなど事情があれば休業期間を最長2歳になるまで延長できる。雇用保険から給付金が支給され、社会保険料免除も併せて手取りの実質8割がカバーされる。男性が子どもの出生後8週以内に最大4週間取得できる「産後パパ育休」もある。介護を巡っては、介護休業や介護休暇などの支援制度があるが、利用者は介護している従業員の11%にとどまる。