2009/02/18
潜む危険 慎重に作業
生活する中で日々出てくるごみ。毎朝のように、何げなく見かけるごみ収集作業には、どんな苦労があるのだろうか。器具類や日用品などを対象にした「こわすごみ」の豊橋市の収集を体験した。
午前八時半すぎ。東部環境センター(同市飯村町)に配備された収集車のエンジンが一斉にかかった。
作業歴八年の金原成欣さん(56)は、ごみを車の奥に押し込むため回る板を指さして「破片が飛ぶので近づきすぎないで」。清水浩之さん(28)は「これ、けがしたんですよ」と、約五センチ縫ったあとがある左足を見せてくれた。袋から飛び出たガラスの破片で切ったという。危険の多さに驚いた。
こわすごみは、作業員が緊張する種類の一つ。昨年一月には、本来なら「危険ごみ」として扱われるスプレー缶やライターの混入が相次ぎ、収集車の火災が四件も起きている。
このため作業員は中身の分からない袋をすべて開けている。革手袋を着けた両手で結び目を解いたり袋を裂いたりして、出てきたごみに目を凝らすと、ヘアスプレー缶などが次々と出てくる。そのたびに持参したかごに入れていった。「何が出るか分からない。雨の方が火事になりにくくて良い」。金原さんは真顔だ。
次から次と現れるごみ置き場。大量の袋を運び、中身を調べているうちに指に痛みを感じてきた。「バキ、バキ」と音とともに飛んでくる破片にも気を付けながら作業をしていると、真冬なのに首筋に汗がにじむ。
午前中の約五十カ所で集まった危険ごみは十キロ前後にも。二人は「ルールを守ってくれれば、もっと楽に終わるけど…」と声をそろえる。迅速さとともに、慎重な作業も求められている人たちに、頭の下がる思いがした。(安田功)
【メモ】車の運転免許以外、特に必要な資格はない。豊橋市は年間数人程度を採用。転職組も多い。18歳の場合の初任給は15万2600円。勤務時間は午前8時30分-午後5時15分
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