中日新聞CHUNICHI WEB

就職・転職ニュース

  • 無料会員登録
  • マイページ

【愛知】教員不足に「ペーパーティーチャー」発掘

2023/06/10

「務まるか」不安 相談会で解消
県教委と名古屋市教委が力

 学校の教員不足を解消したいと、県教委や名古屋市教委は、教員免許を持ちながら教職に就いていない「ペーパーティーチャー」の相談会に力を入れている。学校での勤務経験がない人や、結婚や子育てを機に教壇を離れた人らを呼び込みたい考えだ。(長岡芽映、中根政人)

 五月下旬、名古屋市教育館でペーパーティーチャーを対象にした市教委の相談会が開かれた。民間企業で働く人や主婦ら約八十人が参加。担当者は「思ったよりたくさん来てくれた」と説明。参加者からは「長い間、教壇に立っていないので自分に務まるのか不安」などの声があったという。

 県教委も今月三十日に岡崎市の西三河総合庁舎、七月六日に名古屋市中区の県三の丸庁舎で同様の相談会を開く。参加費は無料で、事前申し込みは不要。県内の教育環境や教員の働き方などを詳しく紹介し、個別の質問も受け付ける。

 県教委の担当者は「現場では、子どもたちの笑顔に接しながら、やりがいをもって働いている教員がたくさんいる。相談会に来ていただいて、『学校の先生』という仕事の中身を理解してほしい」と強調した。

 力を入れる背景には、少人数教育の拡充による学級数の増加などで、非正規雇用の教員を含めても全国的に人手不足となっている現状がある。教員免許に関しては、有効期限を十年と定めていた更新制が昨年七月に廃止され、更新していない免許も有効になった。

 一方で、教員は部活の顧問やテストの採点などで忙しいとの印象が強い。県内の教員の志願者数は減少傾向。県教委などによると、県内の県立と市町村立の学校(小中学校、高校、特別支援学校)で教員の不足数は、二〇二二年五月時点で百八十三人と、二一年五月時点の百二十五人から増えている。

    ◇

◆実習中 残業の仕方に衝撃/柔軟に働けるなら
◆免許保有者 職場環境に関心

 ペーパーティーチャーに話を聞くと、職場環境に強い関心があるようだ。

 「教育実習では午後8時まで残ることが普通だった。現場で働いている先生も『シャワーだけを浴びに家に帰る』と話していて、衝撃を受けた」。金融機関に勤める知多地域の女性(23)は教員免許を取得しながら教職に就かなかった理由を話した。

 一方で「個人の負担が減るなら教員をやってみたい」とも。名古屋市緑区の病院事務の女性(24)も「ワークライフバランスの面を考えて別の仕事を選んだ。柔軟な働き方ができるのなら教職に就いてもいいかなと思う」と打ち明けた。