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【社会】女性消防職員 なかなか増えない 過去最多でも3.2%

2022/06/28

 火災や救助の現場で働く女性消防職員の割合が伸び悩んでいる。総務省消防庁によると、昨年四月一日時点の人数は全国五千三百四人で過去最多だったが、約十七万人いる職員全体に占める割合は3・2%。ここ数年は毎年0・1~0・2ポイント増で推移しており、政府目標の「二〇二六年度当初までに5%」が達成できるかどうかは厳しい状況だ。
 一般的に、体力が求められ、勤務シフトが不規則な職場では働く女性の割合が少ない。ただ同様の事情を抱える警察官の10・6%、海上保安庁職員の8・1%、自衛官の7・9%と比べ、消防は少なさが目立つ。

 今年三月公表の調査では、全国七百二十四消防本部のうち18・1%に当たる百三十一本部は女性職員が不在。少人数本部ほど採用が進まず和歌山、高知、宮崎では半数超の本部でゼロだった。

 警察や自衛隊より少ない理由は不明だが、消防庁幹部によると、後方支援などに当たる職員が少ないことなどが考えられるという。同幹部は「警察や自衛隊を同時に志望する女性が多い。採用したくとも他職種に行ってしまう」と人材の奪い合いの可能性も指摘する。

 一方で、ハラスメント対策や仮眠室などの施設整備に取り組んだ結果、女性職員の新規採用は徐々に増えつつある。女性向けインターンシップや、主に傷病者の搬送に従事する「救命士限定採用」の導入効果もあり、採用者に占める女性の割合は一四年度の3・5%から、二一年度には7・5%に倍増した。別の幹部は「育児との両立など、働きやすい組織をつくるためには多様な人材が必要だ。女性職員の増加はその第一歩」と話す。