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【経済】23年度企業採用アンケート/賃上げ39%実施 けん引役は製造業

2022/04/17

上げ率「2%超3%以下」最多

 二〇二二年春闘で賃上げを実施する企業は39%に上った。けん引役は製造業だ。賃上げを明言せず「その他」と答えた企業でも「業績や同業他社の水準を踏まえ実施する」(小売り)や「内勤職員は年収を3%程度上げる」(保険)といった回答があり、社員の給料を増やそうとする動きは一定程度、広がっている。

 賃金を引き上げる業種は、労使交渉が既に決着した自動車や電機、鉄鋼、機械など。新型コロナウイルス流行で落ち込んだ業績の回復を反映した。引き上げ率は「2%超3%以下」が33%、「3%超」が%だった。一方、食品や日用品の値上げが相次いでおり、個人消費が活性化するかどうかは見通せない。

 賃上げを実施しないと回答した企業は15%にとどまった。コロナ禍で乗客数の低迷が続く運輸や、原油や石炭の価格上昇が重荷になっているエネルギー関連が目立った。食品メーカーは「22年度限定で手当を支給する」とした。

 労働組合がなかったり業績連動型の制度を導入したりして、賃金を労使で協議しない企業も多かった。

◆賃金水準 妥当は42%「低すぎる」26%

日本の賃金は物価動向を考慮すると過去二十年余り、ほぼ横ばいで推移している。世界三位の経済規模を持ちながら経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均より低い。こうした賃金の状況に関し「妥当」と答えた企業が%に上ったが「低すぎる」との回答も%あり賃金上昇が経済成長に欠かせないとの問題意識が垣間見えた。

 妥当とした企業が理由に挙げたのが「日本経済の停滞長期化」が37%でトップ。「生産性が上がっていない」(25%)「物価上昇が海外に比べて緩やか」(14%)が続き、国内経済の構造問題が浮かぶ。

 半面、低すぎると答えた企業は、総じて賃金が上がらないことによる悪影響を訴えた。食品メーカーは「日本の低所得化は明らかで、消費が抑えられてデフレの要因になった」と指摘した。

 他にも「資源エネルギー価格が上昇する中、供給網全体で公平なコスト負担が必要だが、賃金が上がらないと循環しない」(鉄鋼)、「バブル崩壊の後遺症がひどく、人的資源への投資意欲が高まらなかった」(機械)といった意見があった。