中日新聞CHUNICHI WEB

就職・転職ニュース

  • 無料会員登録
  • マイページ

【社会】政府、公的支援要請高まり 不調抱え働く女性4割欠勤経験

2022/04/14

 更年期の症状が仕事や日常生活に与える影響について、政府が初の実態調査に乗り出す。女性就労率の上昇に伴い、更年期特有の不調を抱えながら働く女性は少なくなく、公的支援を求める声が高まっているためだ。同様の問題は男性にもあり、政府は現状を把握した上で普及啓発や支援施策につなげる。 (坂田奈央)

 ◇ ◇ ◇

 東京都内のコールセンターで非正規社員として働いていた女性(51)は昨年四月末、雇い止めにあった。五十歳で発症した頭痛やめまいといった更年期症状がひどく、勤務先が課した「出勤率九割」を満たせない期間が続いたためだ。

 業種や職種を問わない労働組合「総合サポートユニオン」などが昨年行った調査によると、更年期症状を経験した女性の39・8%が、それを理由に会社を休んだことがあるという。労働基準法で認められている「生理休暇」は更年期は対象外。女性は、この症状で出勤できなかった日を通常の欠勤と同様に扱われ、出勤率の改善を勤務先から求められた。三カ月に一度の更新面談時に症状を説明し配慮を求めたというが、契約は更新されなかった。

 女性は「いくら努力しても体調は良くならず、どうすればいいのか分からなかった」と振り返り、「誰もが通る道。十分な情報や不利益にならない制度が欲しい」と訴える。同社の担当者は取材に「出勤率が改善されなかったので、契約更新せず満了とした。更年期障害の相談を受けた記録は残っていない」と話した。

 更年期症状は、四十歳代以降の男女の性ホルモン分泌量の低下に起因し、体調不良や情緒不安定など多岐にわたる。女性就業者数のうち、更年期の年代に差しかかる女性は約四割を占めるが、当事者を含め周囲の知識や理解が追いつかず、支援策もないのが現状だ。

 厚生労働省は難治性疾患などの研究費として二〇二二年度予算に計上した二十七億円の一部を、更年期症状の調査などに支出する。岸田文雄首相は二月の衆院予算委員会で「女性の健康を生涯にわたり包括的に支援していくことは大変重要な課題」と話し、調査の成果を、支援施策につなげる方針を示した。