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【愛知】市の「ラボ」事業で7社誕生 女性の起業支援 これからも

2020/04/01

 女性の起業家の輩出を目指す市の支援事業「ナゴヤ・ウーマン・スタートアップ・ラボ」が二〇二一年度で終了した。「魅力的な仕事がない」と名古屋を離れる若い女性が少なくなかったことから、この層に選ばれるまちづくりの一環としてスタート。県産の野菜をふんだんに使ったスープを通して健康な社会づくりを目指す企業など、これまでに七社が誕生した。 (蓮野亜耶)

 ◇ ◇ ◇

 ラボは一九年度にスタート。起業家が講師となり、ビジネスモデルの設計から資金調達の仕組み、効果的なプロモーション方法などを学ぶ。毎年、三十人ほどが参加。〝受講生〟に東京ビッグサイトで開かれる展示会で販路を拡大してもらう試みにも取り組んできた。

 一九年からラボに参加してきた早崎知代さん(37)は、かつて東京での起業を考えていたが「結婚や出産が重なり、タイミングを逃した」。しかし、起業への思いは消えず、知人に紹介されたラボに足を運んだ。

 管理栄養士の資格を持ち、食に関わる事業を立ち上げたいと考えていた早崎さんが「日常生活に取り入れやすく、健康づくりに貢献できるもの」として着目したのは、手軽に栄養が取れるスープだった。

 ラボを通じて地元で活躍する起業家らに相談しながら事業計画を練り上げ、昨年八月、県内産の野菜を使った冷凍スープの販売を手掛ける「ミルウェル」(西区)を法人化。現在は、ネットを中心に冷凍スープを販売し、幅広い年齢層から支持を得ている。

 「起業は東京でないと難しい」と考えていた早崎さん。しかし、事業を進めるうち名古屋の魅力に気付いた。「陸路、空路もあれば港もあり、海外にもチャレンジできる」。さらに、「農産物などの資源は豊富だし、加工工場もたくさんある」と利点を説明する。

 別の事業を手掛ける参加者からも「ライバル企業が少ない」「オフィスや倉庫代も東京に比べ安い」など、名古屋での起業の魅力が挙がっているという。

 ラボで起業したのはミルウェルのほか、手作りコスメキット事業を手掛ける「NAANO」や、子育て支援事業などを行う「Connect-ed」など。市の担当者は「ラボは終わるが、今後も女性の起業支援は続けていく。ラボから羽ばたいた起業家の後に続く人が生まれ、名古屋には輝く女性がたくさんいると、女子学生たちに知ってもらえたら」と話す。

 市の調査では、首都圏へ転出する二十代の女性は増加傾向にある。市によると、自動車産業が盛んな名古屋地域では女性が敬遠しがちな製造業の求人が多く、サービス業や事務職などを求めて上京するケースが目立つという。

「スープを通して健康な生活を手に入れるお手伝いができたら」と話す早崎さん=西区のなごのキャンパスで
「スープを通して健康な生活を手に入れるお手伝いができたら」と話す早崎さん=西区のなごのキャンパスで