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【くらし】新社会人 コロナ下の心得 愚痴ため込まず相談

2022/03/21

「失敗は特権」 気を楽に

 新型コロナウイルス流行の波に繰り返し襲われる中で迎える新年度。会食の機会が減ったり、リモートワークが続いたりして、職場でのコミュニケーションは制限された状態が続く。この春、社会に出る新入社員がストレスや精神面の不調を抱えず、円滑なスタートを切るために大切なこととは。(熊崎未奈)

 ◇ ◇ ◇

 東京の大手建設コンサルタント会社への就職を控える豊橋技術科学大大学院二年の西村隆登さん(24)。インターンシップ(就業体験)も採用面接も全てオンラインだったため「社内の雰囲気や社員の様子があまり分からない」と不安がる。社員の七割がリモートワークで、自身も入社後は在宅勤務の可能性がある。「積極的にコミュニケーションを取らないと、孤独を感じてしまいそう」

 人間関係が不安なのは、三重大四年の男子学生(21)も同じだ。コロナ禍前は進んで飲み会に参加して交友関係を広げてきた。書店や公共施設の運営を手掛ける大手企業に入社するが、会食の機会が減る中で「どう自分を知ってもらえばいいか分からない」と明かす。

 リクルートワークス研究所(東京)の昨年十月の調査によると、都市圏のオフィスワーカー約四千二百人のうち37・6%が、コロナ禍前に比べ、職場でのコミュニケーション量が減ったと感じていた。また、日本能率協会マネジメントセンター(同)の調査では、昨年四月入社の新社会人約三百四十人のうち「コミュニケーションが取りづらいためにストレスが増えた」と回答した人も72・3%に。コロナ前の一九年から12・7ポイント増加した。

 企業で若手社員のメンタルケアに取り組む産業カウンセラーで看護師の大野恵さん(46)=名古屋市=は、人と人が打ち解けるには、表情やしぐさといった非言語のコミュニケーションや同じ空間を体感する機会が重要と指摘する。「そうした機会が減ってしまったコロナ下では対人関係の緊張が長引き、ストレスや不安が高まりやすい」と話す。

 ただでさえ気持ちのゆとりがなくなる就職を前に大事なのは、家族や友人など愚痴や心配を打ち明けられる人をつくっておくことだ。公的機関などの相談窓口でもいい=表。「言葉にするだけで自分を客観視でき、気持ちの落としどころが見つかることがある。ストレスを発散できる逃げ道をつくって」と呼び掛ける。

 「開き直り」も大事という。「新人は分からないことだらけで当然。失敗するのも特権、くらいに思うことで気持ちが楽になる場合もある」と話す。

 上司や先輩との人間関係を築くきっかけには、自己紹介の機会をうまく活用するよう勧める。趣味や好きなものなど、自分を知ってもらう話題をより強く意識することが必要だ。「飲み会が好きですが、できなくて寂しいです」「仲良くしたいです」など気持ちを率直に表現すれば、上司側も声を掛けやすくなる。「出社して顔を合わせるタイミングがあれば、ちょっとしたお土産を配るのも手」。地元のものや自分の好物なら話の種になる。

 年の離れた人とのコミュニケーションに緊張する人は多いだろう。オンラインならなおさらだ。「少し勇気を持って自分を出せば、仕事も進めやすくなる」と助言。受け入れる側にも「何かあったら言ってね」ではなく、「おはよう」「元気?」などこまめに声をかけるよう求める。

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◆働く人の「こころの耳電話相談」(厚生労働省)
 電(0120)565455
 月火・後5~10、土日・前10~後4(祝日除く)

◆働く人の悩みホットライン(日本産業カウンセラー協会)
 電03(5772)2183
 月~土・後3~8(祝日除く)

◆こころの健康相談統一ダイヤル(近くの公的窓口に接続)
 電(0570)064556

※曜日・時間は自治体による