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【愛知】障害者を皆で支える 雇用創出目指す農園

2022/03/02

長久手で新たに開業

 障害者の雇用創出を目指す農園「わーくはぴねす農園」が先月、長久手市茨ケ廻間に開業した。企業が障害者を一定数以上雇う「法定雇用率」を満たしたいものの、社内での受け入れが難しいメーカーなどに貸与。すでに県内の十一社が契約し野菜作りが始まっている。

 同農園は障害者雇用支援事業を担う「エスプールプラス(東京都)」が開設し、県内では七カ所目。同社事業本部の星田真紀さんは「県内では二〇一六年に豊明市で最初にオープンしたが、日進市や長久手市の人が多く通っており、ニーズを把握していた」と話す。市福祉課によると、市内で約千八百人ほどが障害者手帳を取得している。二〇年九月に同市と協定を締結し、市と土地や人材の情報を共有し、開園に至った。

 農園は約一万平方メートルの敷地にビニールハウスが三棟並ぶ。長さ二十五メートルの発泡スチロール製のプランターを設け、重機などを使わず手作業で耕せるよう軽石で野菜を栽培する。

 借り受けている企業の一つ、道路情報装置メーカーの名古屋電機工業(あま市)の中北洋人事部長(61)は「雇用率達成のため、特定子会社をつくることも検討していたところに農業という選択肢を紹介された」と経緯を話す。現在は知的障害や自閉症の男性三人と監督係を採用。週五日、一日六時間ほど、ラディッシュやレタスなど約二千五百株を社内販売用に栽培している。

 名古屋市から通う田村総則さん(54)は「水やりの調整が難しいが、頑張りが目に見えるので楽しい」。監督係の河上富彦さん(64)は「老後に農業の学び直しのために引き受けた仕事ですが、一緒に成長させてもらっています」と話した。(加藤慎也)

収穫が近いラディッシュの大きさを測る社員ら=長久手市茨ケ廻間の「わーくはぴねす農園」で
収穫が近いラディッシュの大きさを測る社員ら=長久手市茨ケ廻間の「わーくはぴねす農園」で