中日新聞CHUNICHI WEB

就職・転職ニュース

  • 無料会員登録
  • マイページ

【社会】薬剤師数 日本「過剰」 OECD報告 高い調剤報酬一因か 

2022/01/12

 日本の人口当たりの薬剤師数が先進国の中で群を抜いて最多であることが、経済協力開発機構(OECD)が発表した医療に関する報告書で分かった。二〇〇〇年の段階で既に一位だったが、一八年までの増加数もトップで、他国を大きく引き離した。調剤報酬が高いことが一因とみられ、「過剰」との指摘が出ている。

 日本の薬剤師数は一八年現在、約三十一万人。OECDが加盟国のうち三十五カ国を比較したデータによると、人口十万人当たりでは〇〇年に百十三人で、既に全体平均の一・八倍と最多だった。一八年には平均の二・二倍の百九十人に増え、二位ベルギーの百二十七人を大きく上回る一位となった。

 かつて日本では医療機関内で薬を受け取る形が一般的だったが、薬剤師のチェック機能が働くよう厚生労働省が医師の診療と薬の調剤を分ける「医薬分業」を推進。病院などの外にある薬局の調剤報酬を高くして誘導してきた結果、薬局の数が増えたことも背景とみられる。

 日本総研の成瀬道紀副主任研究員によると、日本の薬局の調剤報酬は国内総生産(GDP)比で英国、ドイツの三倍前後。成瀬研究員は「コストを抑えるとともに、初期医療の分野で薬剤師の役割を広げ、人材を有効活用すべきだ」と指摘する。

 日本薬剤師会の山本信夫会長は「需要に比べ多いのは確かで、国がもっと計画的に養成すべきだった。大学薬学部の定員を減らした方がいいが、まだ増える予定だ。病気の予防や患者の生活支援など、仕事を広げる必要がある」と話している。