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【地域経済】就活戦線 社長あり 学生と直接対話のイベント

2021/11/06

理念アピール ミスマッチ防止

 中小企業やベンチャー企業の社長が学生と直接対話する就活イベントが十月下旬、名古屋市内で初開催された。選考の最終段階で学生に会う通常の採用とは逆の流れで、まず経営者が学生に理念や会社の将来性を伝える。規模が小さく大手よりも発信力に劣る企業の採用を支援するのが目的で、社長のアピール力が人材確保のために重要になっている。(平井良信)

 「売り上げの先にある目標は何ですか」「数字を追わない社員にはどう対応しますか」-。ITと不動産、飲食業の社長三人に、同じテーブルを囲む学生たちから直球の質問が次々と飛んだ。十月二十八日に名古屋市内で開かれた「リクルートオーディション」。社長たちは、二〇二三年春卒業予定の学生三十一人と向き合い、経営理念や事業の展望を熱く訴えた。

 約三時間のイベントの最後には学生が一緒に働きたい社長を選び、社長も興味を持った学生を選択。マッチングが成立すると後日食事会に参加でき、内々定に至るケースもあるという。立ち飲み居酒屋を展開する光フードサービス(名古屋市)の大谷光徳社長は、社員の能力を生かす独自の評価制度を紹介し、七人の学生とマッチングが成立した。「飲食は今厳しいが、こんなにも多くの学生と出会えた」と喜んだ。

 「社長就活」と銘打ったイベントを企画したのは、採用支援会社プレシャスパートナーズ(東京)。高崎誠司社長は「中小やベンチャーは社長と近い距離で働くことが多く、考え方や社風に共感できれば入社後のミスマッチ防止にもつながる」と話す。新型コロナウイルス禍でオンラインによる就職活動が普及して学生側の選択肢が広がった。「社長自らが進んでビジョンを語ることは重要だ」と語る。

 参加した学生も社長の話を聞き、判断に役立てた。南山大三年の吉村さん(20)は「社長と直接会うことで会社の特徴や色が手に取るように分かった」と手応えを口にした。

 イベントは一九年から東京で開き、名古屋では学生らからの要望を受けて今回初めて実施した。今後も二~三カ月に一度開催する予定。

企業の社長(中央)と学生が車座で対話する「リクルートオーディション」=名古屋市中区のナゴヤ・イノベーターズ・ガレージで
企業の社長(中央)と学生が車座で対話する「リクルートオーディション」=名古屋市中区のナゴヤ・イノベーターズ・ガレージで