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【社会】働く女性の自殺顕著 政府白書 総数は11年ぶり増加

2021/11/03

 政府は二日、二〇二一年版自殺対策白書を閣議決定した。二〇年の全体の自殺者数は前年比九百十二人増の二万一千八十一人と〇九年以来十一年ぶりに増加に転じた。白書は、顕著だった女性の自殺などについて過去五年平均(一五~一九年)と比較。女性の職業別では「被雇用者・勤め人」が千五百七人(平均から三百八十一人増)で三割ほど増えた。

 厚生労働省は新型コロナウイルス感染拡大による環境変化が一因と分析しており、担当者は「女性に多い非正規労働者が影響を受けている可能性がある」としている。同省と警察庁は来年から、自殺事案があった際に作成する書類に、勤務形態が正規か非正規かを書き込む項目を設け、分析や調査に活用する方針。

 二〇年の自殺者数は男性が十一年連続減の一万四千五十五人となった一方、女性は前年比九百三十五人増の七千二十六人。著名俳優二人の自殺報道後に自殺者数が大きく増えたが、この際の増加率も女性の方が多かった。

 過去五年平均との分析で女性の「被雇用者・勤め人」の増加分の内訳は「事務員」六十六人、「その他のサービス職」六十三人、「販売店員」四十一人、「医療・保健従事者」三十三人の順だった。原因・動機は「勤務問題」が多く、増加は「職場の人間関係」(三十九人増)、「職場環境の変化」(二十四人増)が目立った。

 「学生・生徒」は過去五年平均と比べ、百四十人増加。コロナ禍での二〇年三月の一斉休校要請直後に大きく減ったが、全国で学校が再開した六月に急増するなど、学校活動と関連している可能性がある。