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【社会】職業訓練利用 目標の4割 コロナ対策 厚労省見直し検討

2021/10/28

 新型コロナウイルス禍で政府が拡充した、雇用保険の未加入者向け職業訓練の利用が伸び悩んでいる。「雇用保険と生活保護の間をつなぐ第二のセーフティーネット」との位置付けで二月に受講条件を緩めたが、八月末時点の受講者数は目標の約四割。「すぐに働きたい」との希望や他分野への転職の拒否感が原因とみられ、厚生労働省は見直しを検討する。

 利用が低調なのは「求職者支援訓練」。フリーランスや元自営業者、パートらが主な対象で、在職中か失業中かを問わず最長六カ月間、原則無料で講習を受けられる。ウェブデザインや医療事務といった技術や資格を身に付けることができ、低収入の人たちは期間中に毎月十万円の給付金も受け取れる。

 政府はコロナ禍の雇用対策として休業者や失業者の他分野への就職を促してきた。特に人手不足が続く介護分野や成長が期待されるデジタル分野での人材確保を重視。給付金の受給条件をパート労働者などは月収八万円以下から十二万円以下とし、受講日数も原則出席から八割の出席で良いなどと拡充を図った。

 政府は本年度の目標として五万人の訓練を掲げる。しかし八月末までの受講者数は一万八百二十五人。昨年同月比で約一・三倍に増えたとはいえ、同月までの目標値二万九千人に対して達成率は四割に満たない。

 厚労省の聞き取りでは訓練を受けない理由として「家族を養うために早く再就職したかった」「今までやってきた分野の仕事を続けたい」との声が上がった。同省の審議会部会では、委員から「使われない理由を調べ、対応を考える必要がある」との意見が出ている。