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【地域経済】「U-25採用」 新卒一括を転換 名古屋のIT企業 通年方式に

2021/10/06

 ITベンチャーのスタメン(名古屋市)は新卒、既卒を問わず二十五歳以下を対象にした通年採用を始めた。新型コロナウイルス禍で働くことの価値観が変化し、二十五歳以下の転職希望者が増えており、従来の新卒一括採用を見直した。加藤厚史社長は「コロナ禍で会社の選び方が変わる中、採用方法も変える必要がある」と語る。(平井良信)

 新制度は「U-25スター採用」と銘打ち、八月に開始した。募集対象は二十五歳以下であれば学生、社会人を問わない。学年や時期に関係なく応募でき、内定後はインターンや研修に参加できる。入社時期は卒業後など本人と相談する。

 従来の採用は新卒の学生が対象で、合同説明会、グループ討論、面接など一般的な選考方法を採ってきた。ただ、コロナ禍で採用選考が対面方式からオンライン方式に切り替わり、加藤社長は「学生との向き合い方が変わり、従来型の新卒一括採用がなじまなくなってきた」と指摘する。

 導入には、入社三年目までの若者が転職を希望する例が多いことも背景にある。特に、二十三~二十五歳はコロナの流行前に就職活動をした世代。「入社後のコロナ禍で働く環境や将来への考え方が変わり、ベンチャー業界への挑戦を考える人が増えた。二十五歳以下という新たな枠組みで成長意欲の高い人材を採用したい」と強調する。

 選考期間の短さも特徴で、書類選考と二度の面接を経て、エントリーから十日間で内定の結果を伝える。「無駄な時間を減らし、スピード感を持った採用を目指す」と加藤社長。「他の企業とも成功事例を共有したい」と意気込む。

 同社は二〇一六年一月に設立。組織の生産性向上を促すITツール「TUNAG(ツナグ)」を手掛け、昨年末に東京証券取引所マザーズに株式を上場した。