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【社会】日雇い求人3割減 20年度、大阪・西成

2021/09/21

 日本最大級の日雇い労働者の街、大阪市西成区の「あいりん地区」にある西成労働福祉センターが仲介した建設現場などの日雇い仕事の求人数が、新型コロナウイルスの感染が拡大した二〇二〇年度は十七万一千三百九十九人で、一九年度の二十五万三百六十一人から約三割減ったことがセンターへの取材で分かった。収入が途絶えた高齢者もいる。

 二一年度に入っても低水準で、センターは大阪府外が現場になる仕事の求人が減少したまま戻っていないと分析。感染者が多い府内から労働者が移動することへの懸念が雇い手側にあるとみられる。

 センターの担当者は「求人が少ない一方、コロナで仕事を失った若者からの相談は増えた」と指摘。限られた仕事が若い人に回り、高齢の人にしわ寄せが出ている可能性があるという。

 センターは一九六二年に財団法人として設立され、二〇一三年に公益財団法人に。業者からの求人情報をセンター内に掲示し、労働者に紹介してきた。日雇いの仕事の求人数はバブル期の八九年度は百八十万人以上だったが、その後は減少傾向で一五年度以降は二十五万人ほどで推移。コロナ禍を受け、二〇年度に設立以来初めて二十万人を下回った。

 地元の支援団体によると、十年以上、日雇い仕事で生計を立ててきた六十代半ばの男性は収入がなくなり、アパートの家賃が払えなくなった。路上生活を余儀なくされ、無料宿泊所に入った。

 センターは日雇い以外の警備や清掃の正社員、パートでの仕事も紹介し、働き口の確保に努める。担当者は「一つでも多くの雇用機会をつくりたい」と話した。