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【岐阜】コロナ 緊急事態宣言 感染対策と業務 両立の道は

2021/09/11

主要企業 出勤者7割減 厳しく
運送、製造業など 在宅勤務できない人も

 三十日まで延長されることになった県内の新型コロナウイルス緊急事態宣言。県内の主要企業は在宅勤務などの導入で、従業員の感染防止に取り組んでいる。政府が出勤者の七割削減を求める中、積極的な対策を講じているが、導入は一部にとどまる社が多いのが現状。各社で試行錯誤が続いている。(池内琢)

 「在宅勤務には慣れてきたが、システム開発にはチームのコミュニケーションが大切。感染防止と、効率的な仕事の両立を図るのが難しい」

 情報処理サービスの電算システム(岐阜市)が大垣市に置くIT開発本部。第一システム課の課長代理、遠藤大輔さん(43)は、実感を込めて振り返った。

 同社は八月下旬、全社で出勤者を七割削減する目標を掲げた。遠藤さんのチームでは出勤者は原則、各曜日一人に限定している。今月八日午後に開発本部を訪れると、チームのデスクに向かっていたのは遠藤さんだけだった。

 ただ、複雑なシステム開発には複数の情報機器を駆使する必要があり、自宅で社内と同じ水準の機器をそろえることは困難。チーム内の意思疎通も欠かせないため、IT開発本部では当面、七割減ではなく出勤者の五割減を目標に、在宅勤務などの対策を続けていく方針だ。

 西濃運輸(大垣市)も八月下旬から、本社従業員らを対象に、出勤率50%を目標に掲げる。不要不急の出張をしないようにしたり、有給休暇を取得するよう促したりするなど、感染抑止に取り組む。しかし、トラック運転手らは在宅勤務はできず、全国各地の支店などで、本社と同じ水準の出勤抑制を求めるのは難しいのが現状だ。

 「製造業で出勤者の七割削減はなかなか厳しい」。電子部品のイビデン(大垣市)の広報担当者も、そう打ち明ける。同社の一部では在宅勤務の導入が進んでいるが、工場を多く抱える製造業の実情から、工場勤務者は在宅勤務ではなく、各職場のシフトを調整して休みを増やすなどの努力を重ね、出勤者を抑制している。

 十六銀行(岐阜市)では昨年から、本部職員を中心に在宅勤務を導入。職員にタブレット端末や業務用スマートフォンを貸与してウェブ会議をするなど、従来と同水準の業務を続けている。しかし、約百六十ある支店では顧客と対面する業務が多く、支店での在宅勤務の導入は進んでいないという。大垣共立銀行(OKB、大垣市)も在宅勤務や時差出勤を全職員に呼び掛けているが、各支店での導入は難しいのが実情だ。

在宅勤務の導入で出勤者減に取り組む電算システム=大垣市加賀野の同社IT開発本部で
在宅勤務の導入で出勤者減に取り組む電算システム=大垣市加賀野の同社IT開発本部で