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【社会】「性自認差別」 労災申請 40代女性 上司発言でうつ発病

2021/09/16

 出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの四十代女性が勤務先で、性的指向・性自認への差別的な言動や嫌がらせを意味する「SOGI(ソジ)ハラスメント」を受け、うつ病を発症したとして、神奈川県内の労働基準監督署に労災申請したことが十五日、分かった。女性が加入する労働組合が東京都内で会見し明らかにした。申請は十四日付。

 個人でも加入できる労組「プレカリアートユニオン」(東京)によると、女性は男性として生まれたが性同一性障害の診断を受け、現在は女性として生活している。

 神奈川県内のメーカーで働く女性は、入社当初は男性として勤務していたが、二〇一七年、職場で性自認を公表した。同年十一月に異動した部署で、男性の上司から「女性として見ることはできない」「性別適合手術をしたらどうだ」などと繰り返し言われた。仕事を取り上げられそうになったこともあり、会社に訴えても適切な対応がなかったとしている。女性は一八年に入るとうつ病になり、同年末から今月まで休職に追い込まれた。労組は、上司の発言はセクハラやパワハラで、労災認定基準に当てはまると主張している。

 女性は「性的少数者が能力を発揮できる社会になればと思い、労災申請を決めた」と話した。