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【岐阜】県内初、1社に導入認可 国の正社員後押し制度

2009/02/11

 フリーターなどが正社員になることを後押しするため国が創設した「ジョブ・カード制度」で、県内では先月、初めて1社に導入の認可が下りた。当初は就職氷河期対策に始まった制度だが、折からの不況で多くの企業が採用計画を見直す中、「人材育成のチャンス」ととらえる企業も出ている。

 ジョブ・カード制度は、フリーターや子育ての繁忙期を終えた主婦らを対象に、昨年スタート。利用者は制度を導入した企業で実習訓練などを受け、認められれば採用される。訓練は有期雇用となり、実習生に賃金が支払われて国は企業に助成金を支給する。

 県内では昨年4月から始まった。認可が初めて下りたのは機械・プラント設計のキット・プラン(羽島市)。同社では、図面編集など専門的な知識が必要で、社員が実働できるまでに1年以上かかっていた。奥田哲也会長は「社員研修が必要なうちにぴったり」と、制度を知った昨秋、申請に取りかかった。3月中に2人採用する方針。「長く働いてもらうためにも、訓練期間を通して判断できるのは良いこと」と話す。

 県内では、昨年4月に国から委託を受けた岐阜商工会議所が県地域ジョブ・カードセンターを設置。現在約20社が導入を検討中という。その1社で、スポーツ文化イベント企画・ドルフィン(羽島市)の小森崇稔常務は「制度を通して人材育成の環境を整えたい」と意欲的だ。

 しかし、昨年後半から始まった景気悪化のあおりを受け、同センターは「派遣切りにあった労働者の受け入れもできるが、制度に興味を示す企業は製造業を中心に少なくなっている」と嘆く。

 岐阜経済大経営学部の竹内治彦教授(労務論)は「ジョブ・カード制度は現在の雇用情勢になって別のニーズが生まれてきたのでは。利用者はこの制度を利用して違う業種にも目を向けてほしい」と話している。

 (徳田恵美)

ジョブ・カード制度の説明を聞く参加者ら=岐阜市の県民ふれあい会館で
ジョブ・カード制度の説明を聞く参加者ら=岐阜市の県民ふれあい会館で