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【経済】コロナで休業 賃金補償は? 仕事で感染なら労災保険の対象

2021/08/18

 緊急事態宣言延長や対象地域拡大が決まり、コロナ禍が長期化する中、家族らの感染で体調が悪化するなどし仕事を休む人が増えています。休業中の賃金はどのように補償されるのでしょうか。(渥美龍太)

 ◇ ◇ ◇

 Q 仕事中にコロナに感染して休んだ場合、賃金の補償はあるのですか。

 A 仕事が原因で感染した場合、労災保険の支払い対象になります。働く人が労働基準監督署に申請し、認定を受けられれば、休んだ期間の四日目以降は賃金の八割程度が補償されます。感染経路が判明していない場合も、医療・介護従事者らだけではなく、小売業や飲食業など顧客との接触が多い場合には対象となる可能性があります。

 病気で休んだ場合は、賃金を補償する独自の休暇制度を持つ企業もあります。

 フリーランスは通常の労災には加入できませんが、保険料を自己負担する特別加入制度があります。個人タクシーの運転手らが対象。九月からはウーバーイーツなどの自転車配達員やIT技術者も入れます。

 一方、コロナの医療費は特例により、労災の適用にかかわらず、原則自己負担はありません。

 Q 感染したのが仕事中ではない場合は?

 A 企業の健康保険に加入していれば、「傷病手当金」という制度を使えます。休んだ期間の四日目以降、賃金の三分の二程度が支給されます。感染の確認がされていないながら、発熱などの症状がある場合にも制度を使える可能性があります。自営業者らが加入する国民健康保険の場合は市町村ごとに運用が違い、フリーランスや事業主は対象にならない地域が多いです。

 自覚症状がなく、家族が感染するなどで濃厚接触者になり休んだ場合には、基本的に傷病手当金の対象にはなりません。ただ会社側の指示を受けて休んだなら、会社判断で休業手当が払われる可能性があります。

 Q 非正規労働者も補償されるのですか。

 A 非正規には休業手当が支払われない事例が多く、各地の労働組合は「まず労使交渉を」と呼び掛けています。労災の状況に詳しいNPO法人、東京労働安全衛生センターの天野理(おさむ)氏は「会社内で立場の弱い非正規の人たちは労災を申請しづらく、コロナ禍で相当数の申請が埋もれている」と指摘します。