2021/08/05
パワースーツ 本巣の農家導入
体に装着し、電動で荷物の上げ下ろしの負担を軽減する「パワーアシストスーツ」。主に物流現場で使われているが、農業分野でも導入が進む。県内では富有柿を栽培する「かしんフルーツ」(本巣市法林寺)が今年から導入した。労働の負担軽減だけでなく、業務の効率化につなげる。(藤矢大輝)
施肥シーズンが始まった六月中旬、同社代表の鷲見隆さん(64)がパワーアシストスーツを装着し、肥料を楽々と運んだ。この時期は一日に乾燥鶏ふんと腐植酸資材の計四十袋を倉庫内から運搬車へ積み込む。総重量は約八百キロ。ピーク時には一・四トンに及ぶという。
毎年繰り返される重労働。少しでも負担を軽くしようと鷲見さんは一月に機器を購入。肥料搬入のほか、収穫コンテナの積み下ろしや選果場での出荷作業に活用する。「疲労感が全然違う。仕事を終わった後も苦しくなくなった」と手応えを感じている。
鷲見さんが導入したのは、奈良県のロボット開発企業「ATOUN(アトウン)」製の「パワードウェア」。総重量は約六キロで、背負うように腰と肩に装着する。物を持った際に指先のセンサーが働き、手首の部分をワイヤで引き上げて重さを軽減する。また、腰のベルトが体の傾きを検知すると、体を持ち上げるように動き、腰の負担を削減する。
農林水産省の調査(農林業センサス)では、二〇一五~二〇年の六年間で、農業を主な仕事とする「基幹的農業従事者」の就労人口は約三十九万四千人減少した。うち六十五歳以上が七割を占めている。
同社の担当者は「反復作業で大きな効果を発揮する。高齢者の方の負担軽減や人手不足解消の一助にもなる」とアピール。鷲見さんは「七十代、八十代になっても元気に楽しく柿が作れるよう新しい技術を取り入れ、スマート農業を目指していきたい」と話した。
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