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【経済】採用選考解禁 対面 再開探る企業 ワクチンや感染状況注視

2021/06/02

応募増 海外から会社説明 オンラインに手応えも 

 来春卒業の大学生らを対象にした企業の採用活動が、中部地方の主要企業でも一日から本格的に始まった。新型コロナウイルスの感染拡大のため昨年はオンライン面接が中心となっていたが、「できる限り直接会って話す方が、互いに意思の疎通をよく取れる」(名古屋銀行)との理由から、感染状況を考慮しながら直接学生と会う機会を広げる企業も出てきた。

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 トヨタ自動車は「学生の安全を最優先した」(広報)結果、昨年に引き続き全面的にオンラインでの面接を実施。しかし、今春採用の新入社員らへの聞き取りでは「同期や先輩社員との関係性が希薄になる」などの不安の声もあったといい、「ワクチン接種などの状況も見つつ、来年以降は、対面と併用の可能性も模索したい」としている。

 エネルギー関連企業では、中部電力、東邦ガスとも昨年は最終面接までオンラインで実施。中電は今年も同様の対応をするが、東邦ガスは「すべての面接をオンラインにするかはコロナの動向を見て判断する」(広報)という。

 名古屋鉄道とJR東海は、オンラインと対面での面接を併用する見込み。JR東海の担当者は「選考の段階や学生の居住地を勘案して(オンラインか対面かを)判断している」と話す。

 名鉄は、説明会はすべてオンラインで実施し、面接は感染状況などに応じて判断する。担当者は「基本的には対面で相互理解を深めたい」としつつも、「半分くらいはオンライン面接になるのではないか」と見込む。

 四月中旬に面接を始めた名古屋銀行(名古屋市)は、最低三回の面接のうち、昨年は最終面接以外を原則オンラインとしていたが、今年は、愛知県内在住者に限って二次面接以降を実際に対面する形に改めた。

 バローホールディングス(岐阜県多治見市)は昨年と同様、対面で実施する最終面接を除き、事前の面接は学生に対面かオンラインかを選んでもらう。昨年はオンラインを求める学生が多かったが、今年は対面希望がほとんどで「オンラインでは会社の雰囲気などが分かりづらいとの声もあり対面を求める声が強い」(担当者)という。

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◆応募増 海外から会社説明そオンラインに手応えも

 コロナ禍で広がったオンラインの採用活動では、海外など遠方に住む学生が応募しやすくなるといったメリットもあり、昨年以降の試行錯誤を通じて「手応え」を実感した会社もある。

 「距離的制約がなくなり、学生側から見た『入り口』は明らかに広がった」。豊田自動織機人事部の担当者はこう語る。昨年と今年は、2年連続で学生のエントリー数が前年比で約1割増加。例年最も多い東海地方出身者の数は横ばいで、その他の地域からの応募が増えたことから「オンライン化の効果」とみる。

 昨年以降、企業説明会など学生へのPRの機会もオンライン開催を余儀なくされたが、その強みを生かし、海外駐在者らが赴任の魅力を語る座談会などを初めて企画した。

 子育て世代の社員が在宅で参加し、仕事との両立をテーマに話す回なども設け、答えきれない数の質問が寄せられるなど高い関心を呼んだという。

 面接を担当する役員らから「画面越しで学生の熱意が伝わりにくい」といった声も上がるが、人事担当者は「素顔や本音をうまく引き出せるか、こちらも力量が試される。せっかくの好機を逃さず、優秀な人材の採用につなげたい」と話す。

海外駐在の若手社員らも参加した豊田自動織機のオンライン企業説明会の様子
海外駐在の若手社員らも参加した豊田自動織機のオンライン企業説明会の様子