中日新聞CHUNICHI WEB

就職・転職ニュース

  • 無料会員登録
  • マイページ

【社会】70歳働き方6割が未定 主要110社調査

2021/05/10

 共同通信社が主要百十社に行ったアンケートによると、希望者が七十歳まで働ける環境づくりについて、59・1%の企業が「検討中」と回答した。政府は七十歳までの就業機会確保を企業に求める法律を四月に施行したが、新型コロナウイルス感染拡大で経営の先行きが見通せず、思惑通りに進まない状況が浮かんだ。

 政府は七十歳までの働き方の選択肢として、六十五歳までの働き方に義務付けられている①定年廃止②定年延長③継続雇用制度の導入-に加え、趣味や体調に合わせて柔軟に働けるように④起業した人やフリーランスに業務委託⑤労働者が関わる社会貢献事業を支援-を新設した。

 各企業がどれを選んだかを複数回答で尋ねたところ、③が全体の31・8%。②が5・5%と続いた。④は一社、⑤はゼロだった。

 「検討中」とした企業は、理由に「業績が厳しく、コロナなどで先が読めない」(流通)「時期を含めて慎重に検討したい」(運輸)など先行きの不透明さを挙げた。「人件費への影響を検討する必要がある」(金融)との懸念も上がった。

 政府は、勤め先と雇用契約を維持したまま労働者が他社で働く「在籍出向」の利用を後押ししており、経営難の企業と人手不足の企業の連携に期待するが、45・5%が「検討の考えはない」と回答した。

 「企業間の調整や対象者の選定など調整事項が多岐にわたる」(製造)など二の足を踏む企業が多く、実施企業は30・9%にとどまった。

 アンケートは三月上旬から実施。四月中旬にかけて回答を集計した。