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【経済】履歴書性別欄 記載任意に 様式例 厚労省初めて提示

2021/04/17

 厚生労働省は16日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会を開き、就職活動などで用いる履歴書の性別欄について男女別の選択肢を設けず、記載を任意とする様式例の案を初めて示した。

 心と体の性が一致しないトランスジェンダーの人々の要望に応えた。性的少数者に配慮した取り組みで、今後多くの企業で活用することが期待される。

 厚労省はこれまで、公正な採用試験の実施に向け、日本規格協会の様式例に基づき男女を選択する履歴書を使うように推奨していた。しかし昨年7月、性差別を助長する恐れがあるとして、トランスジェンダーの当事者を支援する団体が、厚労省と協会に性別欄の削除を要請。これを踏まえて同協会が様式例自体を削除し、厚労省が新たな例を検討していた。

 性別欄があることで、トランスジェンダーの人が公表を強いられて苦痛を感じたり、外見と履歴書の性別が異なると指摘されて次の選考に進めなかったりするケースもあるという。

 新たな様式例は、性別欄で男女を選択する方式ではなく、任意に記載する。記入しないことも可能だ。また配偶者の有無や扶養家族数などの項目もなくした。ただ、様式例に基づく履歴書を使用する法的な拘束力はなく、使うかどうかは個別企業の判断に委ねる。

 今後、各地の労働局や経営者団体を通じて企業に周知を徹底する。