中日新聞CHUNICHI WEB

就職・転職ニュース

  • 無料会員登録
  • マイページ

【地域経済】コロナ禍の入社式 分散会場・オンライン・2年ぶり対面

2021/04/02

異様な船出 今年も

 新年度を迎えた一日、中部地方の主要企業も新入社員を迎え入れた。トヨタ自動車や中部電力、東邦ガスなど、昨年は新型コロナウイルス感染防止のため入社式を中止した企業も、今年はオンラインで開くなど対策を講じて開催。各社のトップは経営方針や仕事に臨む心構えを語り掛けた。

 トヨタ自動車はオンラインで開き、中途採用を含む千四十五人が、愛知県内の研修施設など約百五十カ所に分かれて出席。豊田章男社長は、デジタル化の推進や温室効果ガス排出の実質ゼロ(カーボンニュートラル)など業界全体で取り組むべき課題を挙げ「皆さんの多様な考え方や個性を大切にし、イノベーション(技術革新)の原動力となってほしい」と呼び掛けた。

 中途採用の榊原絵里華さん(29)は「ソフトウエア開発の知識と経験を掛け合わせ、お客さまに感動を届けられるよう仲間とチャレンジを続けたい」と述べた。

 中部電力もオンラインで開催。販売、送配電の両子会社や火力発電のJERAを含めた新入社員四百十七人に、林欣吾社長は「エネルギーインフラを進化させ、さまざまなコミュニティーを支え、人の可能性の未来を開いていくことを目指している」と訴えた。

 愛知県内を主要拠点に自動車や航空機の設計を手掛けるタマディック(東京)は対面では二年ぶりに開催。伝統を後世に伝えるようにものづくりの心を受け継いでほしいと、一昨年に続き名古屋市の名古屋能楽堂を会場に選んだ。森実敏彦社長は新入社員六十七人に「デジタル化など産業の構造が大きく変わる。社会の変革に貢献できる技術者になって」と求めた。

 日本ガイシ(名古屋市)は、この日就任した小林茂社長が「グローバルに通用する企業にし、生き生きと働ける社風にしたい。そのために一人一人の努力と自立性が重要」と訴えた。新入社員百五人を代表し原田一希さん(24)は「技術や価値観を吸収し、失敗を恐れずに取り組む」と述べた。

 スーパーなどのバローホールディングス(岐阜県多治見市)は、新入社員五百七十六人をグループ会社ごとに分散させ開催。田代正美会長兼社長はコロナ禍に触れ「常に想定外にどう対応するのか訓練しておかなくてはならない」と訓示。新入社員の中村奈緒さん(22)は「コロナを乗り越え、より豊かな社会の実現のため挑戦し続ける」と誓った。

 現業部門を除き、在宅勤務が続く東邦ガスの冨成義郎社長は、新入社員八十三人に「コロナ禍でコミュニケーションやチームワークの大切さを痛感した。仕事は関係者の協力で成り立ち、人と人とのつながりで楽しさが増すことを実感してほしい」と呼び掛けた。

 中部国際空港会社(愛知県常滑市)は、コロナ禍でグループ全体で新入社員が三十三人と昨年の約三分の一に。入社式で空港会社に入る高ウンビさん(22)は「コロナ収束後に気軽に世界に行けるよう、誰でも便利な空港づくりに携わっていきたい」と意気込んだ。

厳かな雰囲気の中、名古屋能楽堂で開かれたタマディックの入社式=名古屋市中区で
厳かな雰囲気の中、名古屋能楽堂で開かれたタマディックの入社式=名古屋市中区で
入社式で中部国際空港会社の犬塚力社長の話を聞く新入社員たち=愛知県常滑市の中部国際空港で
入社式で中部国際空港会社の犬塚力社長の話を聞く新入社員たち=愛知県常滑市の中部国際空港で