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【社会】「女性不況」日本深刻 37%が対人サービス業

2021/03/08

 8日に国際女性デーを迎える中、女性の雇用悪化が際立っている。新型コロナウイルス禍の影響を受ける飲食や小売りなどの職種に就く女性が多いためだ。この現象は、英語で女性を意味する「シー」と景気後退の「リセッション」を掛けた「シーセッション(女性の不況)」と言われ、世界共通の問題。特に日本は女性の家事負担が重い上に職種の偏りが大きく、激しいシーセッションが吹き荒れている。 (渥美龍太)

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 日本総研の井上恵理菜氏の先進十三カ国を対象にした調査では二〇一九年、女性の就業者のうち飲食、宿泊など対人サービス業で働く人の割合は日本は37%で、スペインに次ぎ二番目に高かった。雇用形態では、パート(日本は非正規)で働く人の比率が46%を占め、オランダ、スイスに次ぐ高さとなった。

 井上氏はこれらの特徴が日本の女性の雇用悪化に直結したとみる。昨年七~九月の就業者(二十五~五十四歳)が前年同期比でどれだけ減ったかの計算では、日本の女性は2・8%(約五十一万人)減で、男性の1・6%(三十五万人)減を1・2㌽上回った。この「男女差」はイタリアに次ぎ二番目の大きさだ。

 コロナ禍で職を一度離れた女性の再就職も厳しい。労働政策研究・研修機構の周燕飛(えんび)氏はNHKと共同で自ら離職した後の再就職実態を調査。昨年四月一日以降に離職し十一月までに再就職した人では、正規から非正規に変わる「非正規化」が女性で%超あり、男性の二・七倍に上った。

 女性の失業率が2・6%(男性3・2%)と低いことに実態との隔たりを指摘する声もある。野村総研の武田佳奈氏はパートなどの勤務時間が半分以下に減り、休業手当が出ない人を実質的失業者と定義。これに実際の失業者を足すと女性失業率は6%に上がる。