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【社会】休業手当 非正規排除は違反 

2021/02/01

同一労働同一賃金促す 大企業に厚労省

 新型コロナウイルス感染拡大による非正規労働者への休業手当支払いを巡り、正社員にしか支払わない場合は、同一労働同一賃金の規定に違反する恐れがあるとして厚生労働省が手当の支給を求める通知を大企業に送っていたことが分かった。非正規労働者には支給されないケースが相次いでおり、こうした“雇用格差”に警鐘を鳴らした形だ。

 関係者によると、通知は昨年11月に厚労省から全国の労働局に出され、その後、少なくとも25の大企業に送付された。

 通知は、休業手当が受け取れない中小企業の労働者を対象にした休業支援金・給付金を巡って、大企業の労働者から申請があった場合、制度対象外の大企業に自主的な支払いを促すため送付している。

 制度を創設した昨年夏以降、正社員には支払っているが非正規には支払わない大企業があるとの訴えが続発した。非正規からの相談に取り組む労働組合から強い指導を望む声が相次ぎ、今回の通知を作成した。

 通知は「正規雇用労働者に対してのみ休業手当を支払い、非正規雇用労働者に対して休業手当を支払わない」ケースは、「昨年四月から施行されている(不合理な待遇格差を禁止した)同一労働同一賃金の規定に違反する恐れがある」と明記。「支払いについて検討ください」と求めた。

 大企業でも雇用調整助成金の特例の活用が可能だと強調。シフト制の労働者に休業手当を支払った場合も助成金の対象となることを指摘した。ただ、これまでのところ支払いに応じた企業はないといい、実効性の確保に課題がある。

 東京都内の労働組合によると、ある大手飲食チェーンでは昨年の緊急事態宣言で店舗が休業となり正社員に休業手当を支払ったが、アルバイトには支払わなかった。会社側は「(バイトには)補償する必要がない」と説明したという。同様のケースは大手ホテルなどさまざまな業種で起きている。