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【社会】部活引率費 教員負担 23府県公立高

2021/02/01

土日は「勤務外」扱い

 公立高の部活動に携わる教員の実態について共同通信が全国の都道府県教育委員会を対象に調査したところ、土日の練習試合で生徒を引率した教員に交通費(旅費)を支給していない自治体が二十三府県に上ることが分かった。部活による時間外勤務を認めていない国の法令を不支給の根拠とする回答が相次いだ。土日返上で指導する教員の実態と、法令との隔たりが浮き彫りとなった。

 教員の長時間勤務が社会問題となる中、識者らは「国は法令を見直し学校の実情を反映した制度に改めるべきだ」と指摘。部活も含め教員の働き方改革を進めている文部科学省は法令見直しを「検討する」としている。

 部活の練習試合は土日に多く、遠征することもある。法令は部活による土日の勤務を認めておらず、部活は教員の自発的な活動と整理されている。二十三府県に不支給の理由を複数回答で尋ねると、法令を踏まえ十三府県が「時間外勤務が認められていないため」、十一府県が「自発的な活動のため」として、いずれも「引率を出張と見なしていない」と答えた。

 残る二十四都道府県は「支給する仕組みがある」と回答。うち二十都道県は「生徒の安全を確保する責任がある」「部活は学校教育の一環」などとして「引率を出張と見なして支給する」としている。

 文科省は学校数など地域ごとに事情が異なり、支給するかどうかは「自治体が判断すること」と説明している。

 部活の問題に詳しい置塩正剛(おきしおせいごう)弁護士は「法令が支給を阻む要因になっている。支給したとしても『勤務ではない自発的な活動』に公費を充てることになり、法令の解釈上疑義がある。いびつな制度になっているのが現状だ」と是正を求めた。

 土日の練習試合の引率では昨年十月、鳥取県立高の多くの教員が県教委の規定に違反して車に生徒を乗せたとして処分された。県教委が法令を理由に出張と見なさず、交通費を支給していないことが判明し、一月下旬までに都道府県教委に土日の部活の状況を尋ねた。